渡道(5) 12月31日その2 釧路湿原

釧路駅を下車し、さきほどのスーパーおおぞら1号の車中でTELで予約したレンタカーの手続きの為に、釧路駅至近のレンタカー会社に行きました。
借りるレンタカーは軽自動車、ダイハツのムーブです。
どうせ一人だけなのだから、軽で十分。
問題は雪道運転の経験が全くないこと。
かつて我が家のある一帯で雪がうっすら積もり、ノーマルのタイヤで徐行していた時に、徐行なのにスリップし、クルマがあらぬ方向に向かったのを助手席ながら体験した事があり、雪はコワイと私の頭にインプットされているのです。
しかし、北海道のクルマはスノータイヤを履いているんだから、どうにかなるやろう!と楽観的とも無謀とも言える試みをやってみたのです。
クルマを借りておそるおそるアクセルを踏んでみました。
レンタカー会社の車庫から出す時に、さっそく目の前の道路は雪が踏み固められて氷になっている箇所があります。
しかし、タイヤがしっかり路面を踏みしめており、どうにか運転ができそうと判断しました。


湿原東側に向かうには国道44号および391号を通るのですが、幹線道路の路面は幸いにして雪がありません。
雪解け水で濡れていますが氷結もしていないようです。
雪道を懸念していたのですが、余裕を持って国道391を北上しました。


釧路湿原地図】
http://city.hokkai.or.jp/~kkr946/shitsugen_map.html
(↑このリンクにある地図を適宜、拡大縮小して下さい)


釧網本線遠矢駅付近で国道から脇道に左折する道路があります。
釧網本線と国道が遠矢駅付近で別れてしまうのですが、脇道を通ればさらに釧網本線沿いに進む事ができます。
なぜこんなルートを通るのか。
手持ちのガイドブックには、釧路湿原散策はまず「岩保木水門」から、と記述があったからです。
地図によると、水門に向かうにはこの脇道を通るのが良さそう。
で、脇道に入った訳ですが、脇道に入ってすぐのところには集落や公園などがあるのですが、ここを過ぎると左右ともに湿原しかありません。
ゆえにクルマの往来もほとんどない訳で、路面には雪がたっぷりと残っています。
轍の痕跡はありますが、ところどころ轍がなくなっている個所もあります。
こんなところでも運転ができるのか!?と心配になると、轍から少し外れただけで、ちょっとハンドルを取られました。
これは危険です。
轍をきっちりトレースし、ないところは徐行しなければならないと痛感しました。
このような状態の道路を進むと、T字路に突き当たりました。
T字路の右斜め前に大きな水門が見えました。
これが岩保木水門です。

(↑1990年建造の新水門)

(↑1931年建造の旧水門)
ガイドブックによると、湿原に沈む夕日を水門と絡めて見ると大変に美しい、との事。
しかし、時間はまだ12時。しかも日差しからは程遠そうな曇天。
結局、ちょっとピントがずれた人間が軽い気持ちでやってきてもどうにもならない、ということが理解できただけでした。
道路を引き返します。


続いて、岩保木山を越えて「細岡展望台」に向かおうとします。
手持ちの地図では道路が描かれているのですが、クルマのカーナビにはその道路が表示されません。
おかしいな?と思いながらクルマを進めると、ゲートが閉まっていました。
ゲートには「冬季通行止め」との表記がありました…
ナビに道路が描かれていない理由がわかりました…
仕方ないので遠矢駅まで戻って、国道経由で大回りするしかありません。


国道を北上させ峠を越えると、細岡展望台の標識が見えたのでそこを左折。
立古武沼の湖畔を通りなます。
さらに進み釧網本線の踏切を二度渡りると、釧路湿原駅のすぐ近くに細岡展望台がありました。
クルマを置いて階段を登ると、展望台になっています。
こんな時期だというのに先客が1名いました。
さて、展望台から湿原を見ますと、手前に葉を落とした林があり、その向こうに湿原が広がっていました。
しかし、この展望台はあまり高くないようで、見下ろすしてはちょっと物足りない感じ。


ガイドに従って、次は「サルボ展望台」を目指します。
もう一度国道391に戻り、北上すると今度も峠越え。
これを越えると塘路の集落。
以前、ここにある塘路YHに宿泊した事がありました。
集落の北側には塘路湖があり、この北端を少し過ぎた辺りにサルボ展望台があります。
国道の左側に駐車場があるので、クルマを停めようとしたら、駐車場の中は全く除雪がされていません。
しかも、道路と駐車場の境目に、道路の除雪した雪の塊がさながら壁のようになっています。
これを乗り越えようとクルマを突っ込ませたら、タイヤが空回りするのですよ。
これは危険です。
ギアをバックに入れ替え、脱出を試みたところ、幸いにして簡単に動いてくれました。
無理にこんな駐車場にクルマを停めようとしてドツボにはまって身動きが取れなくなっては大変です。
仕方ないですがサルボ展望台はあきらめました。


次に目指すは「コッタロ展望台」。
サルボ展望台の少し南に、国道から西方に別れるT字路があるので、これを曲がります。
この道は道道1060号と名付けられています。
すごいですね、4ケタって。
内地の県道で4ケタなんてあるのかな?
この道路は釧路湿原を横断するように敷設されています。
しかし、湿原内の環境変化を最小限にとどめるために、舗装はなされず砂利道なのです。
しかし、この道路が面白かった。
道路脇にはエゾシカがあちこちに見えました。
エサを探して首を下に向けていましたが、クルマの音で人間の気配を感じると、こちらをじっと見ているのですよ。

シカの頭にツノが見えません。オスの鹿の角は冬になると抜けてしまうのです。
これでは遠目にはオスとメスの区別がつきません。
途中で釧路川を渡ります。

橋の上から蛇行する川を見ると、護岸工事などまったくなされておらず、蛇行の外側の土がえぐり取られています。
近頃の川岸といえば、コンクリートで固められた護岸なのですが、全く手が付けられずに、自然の営みと造形がこんなところで見る事ができて驚きでした。
この道路沿いには釣り客も結構来ているようで、チラホラと、クルマと釣り客の姿が見えたりもしました。


クルマをさらに進めると、コッタロ第1展望台へのアクセスできる駐車場があり、ここに止めました。
駐車場正面には建物・公衆便所(冬季閉鎖)があり、この裏より急傾斜に階段を取り付けた遊歩道がありますので、これを登ります。

階段になっているのは有難いものの、雪が積もっているので手すりを握りしめながら怖々と歩きます。
それでも滑るので難渋しながら坂道の遊歩道を登りました。
遊歩道の終点までたどりつくと、たいへん良い眺めで、湿原を一望できるのです。


ただ、眺めは良くとも、天候が良くなく、風が吹いている上に、時折雪まで舞ってきます。
吹きっさらしの中では、本当はもう少し景色を眺めたかったものの、寒さに耐えかね遊歩道を下りていきました。
この時、登るより降りるほうが足元が滑って危ない。
手すりを最大限活用し、握って滑り落ちることのないように登り以上に神経を使って駐車場まで降りたのです。
登り下りに大変な思いをしましたものの、展望台からの眺めは極めて抜群でしたので、オススメの展望台だと思います。
なお、コッタロ第2展望台はカーブしている道路の路肩。眺望はいまひとつ。
第3展望台はどこなのかわかりませんでした。


このあと、湿原の西側にクルマを走らせ、温根内ビジターセンターへ。
ここには、かつて運行されていた鶴井村営軌道が湿原の中に線路を通しており、廃線となった今、廃線跡が遊歩道として整備されているのです。
鉄道好きとしては、これは気になるポイントです。
ぜひ歩いてみたい。
しかし、時刻は日没も近い3時45分頃。うす暗くなってきています。
駐車場には、自分以外はクルマが1台たりとも見えず、遊歩道へアクセスするための階段も雪が積もっています。
暗くなりつつある今、下手に入っていき、雪で足をとられてケガでもしたら大変な事になりますので、名残惜しいですが、当地はあきらめました。


温根内ビジターセンターの少し南には、釧路市湿原展望台もあります。
しかし、展望台の建物は閉館していて入館不能

ますます薄暗くなってきましたので、当地の見学もあきらめることに。
ただ、当地からは、湿原越しに、釧路の街の灯りが見えまして、これはこれで、抜群の眺望というほどではないものの、悪くない景色でした。

これにて釧路湿原観光は終了。
釧路市内に戻りました。

【以下続く】