渡道(6) 1月1日その1 霧多布岬

霧多布を目指し東進
一夜明けました。新年です。
この日は、お昼すぎにクルマを返却することとし、2パターンの動きを考えていました。
≪候補1≫霧多布岬
≪候補2≫野付半島

午前7時、クルマに乗り込み、ナビで検索。
≪1霧多布≫は釧路から2時間少々で到着できるのですが(およそ60km)、≪2野付半島≫は4〜5時間もかかるとの事(およそ120㎞)だったので、霧多布岬にしました。


国道44号線根室方面に向けて走行。
もともとクルマは少ないエリアのでしょうが1月1日の早朝だけあって対向車が少なく感じます。
しばらく内陸を走行となり、厚岸で海に出ました。

厚岸といえば駅弁の「かきめし」。
ぜひ食べてみたいなと思いつつも、残念ながら駅前の駅弁屋さんは正月ゆえに店を開けてませんでした。


ナビは44号線をそのまま東進を指示しますが、道道123号線に入り、厚岸湾と厚岸湖を分け隔てるように陸地がくびれとなっている個所に架かる厚岸大橋を渡ります。
ここより先は、123号線(愛称:太平洋シーサイドライン)を通り、国道経由よりやや遠回りながら東進します。
太平洋シーサイドラインとの愛称にある通り、太平洋のよく見える沿岸を通るんですが、一人で慣れない雪道を運転しているので、のんきに海を見ている余裕はありません。

しかも国道と違ってクルマが少ないから除雪も不十分。
カーブではかなり手前から減速して曲がるようにしました。
幸いクルマは前にも後ろにもいませんから、邪魔せず邪魔されずマイペースで走れました。


さらに東進すると、藻散布沼・火散布沼があります。
火散布には集落と漁港があり、沼には養殖いかだのようなものが見えます。
場所柄、カキでも養殖しているのでしょうか。
こんな地の果てのようなところにも人の営みがあるのですね。


沼を過ぎると、霧多布湿原に来ました。
琵琶瀬展望台というのがあり、展望台の南側が太平洋、北側が湿原という絶好のロケーション。
…ですが、天気が悪い。
空は厚く雲がたれこめ、雪も断続的に舞ってます。
5分もいたら体の芯まで冷え込むので、景色見物もそこそこにクルマに戻りました。

(↑展望台南側の太平洋。AM9時だというのにこんなに暗い)

(↑展望台北側の霧多布湿原)


霧多布岬で暴風にあおられる
霧多布岬(正式名称は湯沸岬)を目指しさらに10分程進み右折しますと、あとは岬への一本道。
(厳密には浜中町の市街を抜け、一部に曲がったりもしますので完全な一本道ではありませんが)
市街地を抜け、高台への坂道を登ると、荒涼とした景色になりました。
左右を見ても木が生えていません。
それだけ日常的に風が強いのか。
道路の終点には大きな駐車場があり、クルマはここまで。
これほど広い駐車場ならば、夏季だとたくさんのクルマが来るのでしょうが、この日のこの時間は私一人だけ。
クルマを降り、遊歩道を歩きます。

ところが、風がすごくて寒いのなんの。
この日は発達した低気圧が北日本にあり、さえぎるもののない霧多布岬は強風にさらされています。まるで台風のようです。
体を前かがみにして歩き、灯台の下までたどり着きました。


灯台で遊歩道は終点だと思っていたら、まだ先まで続いています。
強風に身をさらされながらも、とりあえず進みます。

だんだんと道幅が狭くなってきました。
言うなれば剣が峰のてっぺんを歩いているようなもの。
風は強く雪も時折強く舞い、道はややぬかるんでいて歩きにくい。
勾配を下っていくと下の画像の場所に着きました。

猛風にさらされ、下をのぞきこむと荒波が岩に当たって大きく崩れています。
この波しぶきが風に乗って私のいるところまで飛んでくるのですよ。
水分はすぐに蒸発するのですが、塩分が顔やメガネに残ります。
まだ、道は数十メートルは続いているようですが、ますます道幅が狭くなっているようです。
こんな天候の中でいまだに私以外の人間には出会いません。
万が一、こんな場所で風にあおられ、剣が峰から落っこちてしまったらあの世行きは確実で、しかも目撃者もいないので、どこかに通報されることもないでしょう。
道は先へ続いていますが、寒いのと万が一の危険を考え、引き返しました。
ところがクルマへ戻るまでの道のりが寒いのでとても長く感じらるの何の。
クルマの中に入った時にはホッとしました。
結局、岬をウロウロしている間、誰ともすれ違いませんでした。
後から聞いた話では、自殺の名所だそうですね…
こんな状況なら確実に死ねるよ。


今から釧路に戻ります。
岬のある高台から市街に戻ったところにあるセイコーマートでトイレを借り、潮だらけの顔とメガネを洗いました。
今度は国道44号線に直行する道を通るのですが、途中で霧多布湿原を横切るように通るところがあり、ここは実に直線です。
湿原が終わったらちょうどここに展望台があるので、またもや展望台に立ち寄りました。

さっき立ち寄った海沿いの展望台からはかなり距離があるはずです。
この湿原も結構広いのですね。


44号線に合流する少し手前に茶内駅がありました。

もちろん無人駅。
上り線と下り線でホームが平行でなく互い違いに配置されているのが、かつてのタブレット閉塞時代を偲ばせます。

こんな駅を見物しているのは自分一人だけだと思ったら、このあともう一人現れました。
どう見ても地元の人ではなさそう。
鉄分濃厚な人でしょうか(笑)


ここから先は44号線を釧路目指して西進しました。
途中で、トレーラーに追い付きました。
こんなの足の遅そうなのが前にいたらイライラするので追い抜きたいところですが、不慣れな雪道。事故る訳にはいかないので自重。
ところが、このトレーラー、登り坂では速度が落ちるのですが、平坦では結構速いのですよ。70キロは出ていたかな?
意外と速かったので、結局釧路まで追い抜く事はありませんでした。
釧路市内のセルフで給油しクルマを返却。


時刻は12時すぎ。
釧路駅ビル内の食堂で昼食を取り、鉄道の旅に戻りました。

【以下続く】