嵯峨野観光鉄道に乗車

先日(2016.10.29)、某団体の日帰り旅行で京都は嵐山へ行きまして…、

嵯峨野観光鉄道トロッコ列車に乗車する機会を得ました。
旧・山陰本線廃線後を転用してオープンしてから、はや20年以上。
以前から興味はあったのですが、なかなか乗車する機会を得ず、今回初めての乗車となりました。
乗車はトロッコ亀岡駅からトロッコ嵯峨駅までの、上流から下流へ下るコース。
団体の主催者としては、本来ならばトロッコ嵯峨からトロッコ亀岡へ川を上るコースにしたかったのですが、満席で確保できなかったので、川を下るコースになった由。

トロッコ亀岡駅

↑1面1線乗降ホーム

↑その脇を現・山陰本線の列車がバンバン通過していきます。
そうこうしているうちに、私が乗る列車が到着しました。

到着列車は満員、しかも立席乗車まで乗せて到着したので降車に時間がかかっていました。
降りてくる人たちも、東アジア系、東南アジア系、欧米系など、国際色豊かな様子でした。
インバウンドの京都人気を垣間見ることができます。
引率の旅行会社の方によると、空席なければ日本人はあきらめるそうですが、インバウンドは立席承知で乗り込んでくるそうです。
だけど、通路まで満杯になると、着席旅客の半分は、行程の途中までは渓谷が見えず、山肌しか見えないので、不満が残るかもしれません。
そうしないようにするには輸送力を増やすしかありません。
増結か、増発か。
増結は、駅の有効長の問題がありますし。(特にトロッコ嵯峨駅はJRの嵯峨嵐山駅の一画を使っています。)、増発に至っては、現在トロッコ嵐山からトロッコ亀岡まで棒線の1閉塞なので、保津峡あたりで交換設備を作って閉塞を分割させるか。
増結ならばまだやりやすいだろうけど、交換設備を作っての増発は車両増備も必要で投資額がかなり大きくなるだろうから、親会社&線路を保有するJRとの絡みもあるでしょうし、季節運行の観光鉄道としては、簡単にできる話ではない。
そんな現実的なことを考えてると、なかなか嵯峨野観光鉄道会社も大変だろうなあ、とついつい心配してしまったり。


さて、やっと車内が空き、乗車開始。
すでに定刻の15:35を過ぎています。
車両は貨車「トキ25000」から改造した車両で、座席は木製ベンチ。

私も指定された区画に座りますと、約3分遅れですぐに列車は発車。
フィー!と汽笛が鳴ると、ガタンとした衝撃ののち動きだしました。
この引き出し時の衝撃がいかにも機関車牽引の列車という感触。
しかも並形自動連結器のためか、なかなか衝撃が大きくて、近頃の電車では味わえない衝撃でした。
こんな衝撃があると、客車列車の機関士の腕前としてはいかがなものか、と一瞬は考えてしまいました。が、…(後述)
発車しますと、足元から伝わってくる振動が、いかにも貨車と言わんばかりのゴロゴロ感。
レールの継ぎ目でもゴツンゴツンと伝わってきます。
空車の103系でもゴロゴロ感が少し感じますが、トロッコ車両は板ばねを装備しており、やはり出自が貨車だけありますね。
超満員乗車を想定して、固いコイルばねを履いて乗り心地がいまいちとされる103系は、やっぱり旅客車ですから、比較になりません。
だけど、近頃はトロッコとは名ばかりの空気ばね台車を履いたトロッコ車両(というかオープンデッキ車両)もあったりしますから、これぐらいのゴロゴロ感が良いですね。
列車は、秋の保津川沿いを走ります。
しかし、紅葉にはまだ早く、木々は青々としていました。

保津川下りの船も見えました。
トロッコ亀岡を発車して約10分、列車はトロッコ保津峡駅に停車。
この駅で乗降する乗客は全くありませんでした。
乗客を楽しませようと亀岡から乗り込んでいた酒呑童子のみが下車。

↑子供を怖がらせないようにアンパンマンのお面まで用意していました。
他にも、ワンボックスを占める乗客には、ポラロイド写真を撮影して販売もされてました。
1枚千円で、私もついつい買ってしまったのですが、財布に千円札がなかったので五千円札を渡したらカメラマンのお姉さんから『お釣りはいらんな』ともちろん関西弁でボケられるました。
同じボックスの人からは爆笑された上に、『お釣りはもらったらあかん』と突っ込まてしまう始末。
線路の沿線には桜やもみじの木を植えたりするなど、嵯峨野トロッコ列車の乗客を楽しませようとするサービス精神を噂には聞いていましたが、自分が実際に体感して、なるほど!と関心した次第。


さて、トロッコ保津峡駅に到着。
この駅を発車する際は、なんの衝動もなく、実に静かに動きだしました。
トロッコ亀岡駅を発車する際のあの衝動は何だったのか?と不思議なぐらい。
もしかすると、亀岡発車のときには「トロッコ列車」の乗客に対して、敢えて乱暴に引き出すことで、いわば「トロッコの旅」を「演出」しているのかもしれないな、とも思いましたが真相はいかに。

↑列車は鉄橋を渡りますと、進行方向に対して左側だった川が右側に移りました。
その後、トロッコ嵐山駅に到着。
ここではけっこうな人数が下車しました。
ホーム長が短いようで、後部号車の乗客は前の車両まで移動していました。
ここではドアカットしているのでしょうか。
トロッコ嵐山駅を出発すると、すぐに山陰本線の下り線に合流し、逆走しはじめました。
鉄道マニア的には、列車本数の多い区間なのに、逆走をさせるとは、ダイヤ作成で大変なのではなかろうかと心配になります。
逆走区間の信号はどうなっているのだろうか?と気になりますが、おそらく逆走区間はJR嵯峨嵐山駅の構内扱いなのではないかと思います。
トロッコ嵐山駅の上り信号機(たぶん場内?)が進行を現示すると、JR嵯峨嵐山駅の下り出発信号機は停止となるように連動させているのであろう、と思います。
そして、終点トロッコ嵯峨駅に到着しました。

このDE10には、

↑のように寝台特急マークが上下逆で設置しています。
なんで逆さにセットしてるんだろう。


かように、個人的にはかなり楽しませてもらったトロッコ列車
また乗りたいとハートをわしづかみにされてしまいましたが、これが桜や紅葉のピークだと、どうなるのだろうか?とただただ気になるところです。