タビテツ関東平野外周編その9 箱根登山鉄道(2012年12月30日)

翌日30日は関西へ向けて帰ります。
しかし、まっすぐ帰っては面白くない!
ということで寄り道しながら帰ります。
しかし、ホテルを出るや、外は雨・・・
傘をさしたくないけど、ささなきゃ仕方ありません。


平塚より小田原まで移動。
小田原で下車なんて、意外なことに初めてじゃないかな。熱海は何度もあるんだけど。

小田原では伊豆箱根鉄道大雄山線がJRホームに隣接してよく見えます。
これに乗車したかったのですが、時間の問題でやむなく割愛。
さて。
ここで小田急…、もとい、箱根登山鉄道に乗り換えです。
箱根といえば、小田急グループ西武グループが箱根の観光開発をめぐって泥仕合を演じた、いわゆる箱根山戦争の舞台ですね。いまは終息して提携関係にあるようですが。
その地で、小田急グループ箱根登山鉄道だけ乗車して、西武グループ伊豆箱根鉄道に乗車しないのは、なんだか片方の肩だけを持つようで、心残りなところ。
またこんど、乗車しに来ようと思います。


小田原では、JR→箱根登山鉄道への乗り換えがギリギリなので、ゆっくりしている暇がない。
小田原で乗り込む電車の写真を撮る事もかなわず乗車。
8時05分発、7221レに乗車。。箱根登山鉄道といっても、小田原駅小田急の雰囲気が色濃く、車両も小田急*1箱根登山鉄道という雰囲気に乏しい。
やはり、小さな電車の2両編成じゃないとね。
少しずつ線路が高度を上げつつあると、雨が強くなってきました。
気温が低くて湿度が高いようで、霧も山の斜面にはりついているのが見えました。
はやく前線が通り過ぎる事を祈るも、そうはいかない様子。
8時21分頃、約2分遅れで箱根湯本に到着しました。

(↑ここまで乗車の小田急車)
1面2線のホームの強羅方へいくと、小さな電車が停まっていました。

8時25分発の415レに乗り込みます。
まだ8時代で、東京方面からの観光客があまり到達していなさそうなので、車内はさほど乗客も多くなく、座席がさらりと埋まる程度。
列車は、発車するやいなや、80‰の急勾配をぐんぐん登坂。
かの横軽66.7‰を上回る勾配。
関西では、南海高野線神戸電鉄で50‰があり、これでも相当な急勾配だと思いますが、80‰をかぶりついて見ていたら、壁と言ったら言い過ぎですが、とんでもない急勾配に見えます。
これを鉄の車輪で粘着登坂するなんて、とんでもない世界ですね。
しかもこの日は雨。空転しないか心配でしたが、ぐいぐい登っていきました。

出山信号場スイッチバック。標高234M。
運転士が車外へ出て列車の最後尾へ移動しエンド交換。
強い雨の中、仕事とは言え頭が下がる思い。

大平台駅で418レと交換。
標高が徐々に高くなってくると気温も下がるからか、それとも湿気を含んだ風が山肌に当たるからか、霧も濃くなってきました。

大平台駅の、手前の渡り線は見えますが、向こう側の渡り線は見えないほどの濃霧。
大平台でもまたスイッチバック。標高349M。
大平台を発車すると、これまで登り一辺倒だったのですが、一息ついて、水平程度の区間もありました。

進路は再びどん詰まって上大平台信号場。標高359M。
みたび進路を変更。
またもや勾配が急になってぐいぐい登坂。

9時03分、終点強羅駅に到着しました。標高553M。
ここで箱根登山ケーブルに乗り換え。
鉄道の終点でケーブルに乗り換えは、関西人的には南海電車のような雰囲気。

9時05分発の9レです。
発車時のガクンとした衝動とともに発車。
ロープを介して、反対側の車両および山上側のモーターにぐいぐいと巻き上げられる感触と、空気ばね台車ではなさそうなゴツゴツとした乗り心地がいかにもケーブル独特ですね。
箱根登山ケーブルは結構こまめに中間駅が設置されているので、少し走ってはすぐに停車。
ケーブルカーの構造上、他の路線ではとても需要がありそうにないような駅での停車もあるのですが*2、さすがに箱根は首都圏の奥座敷だけあって開発も進んでいるのでしょう、4か所ある中間駅のいずれも駅周辺に人家や観光施設が見え、乗降もそれなりにありました。

中間地点で山を降ってくる車両と交換。わが列車は右側の線路を通過。

9時15分、早雲山駅に到着。標高757M。
ここでロープウェーに乗り換えです。
少しだけ駅舎の外へ出ますと、ますます風雨が強くてすぐに駅舎内に避難。
本当は、早雲山までの乗車で終わりとし引き返そうかと思っていたのですが、今後の私の身の上の都合上これまでのようにフラリと気ままに出掛ける旅行は難しくなってくるであろうし、どうせこんな遠方までやってきたのだから、ロープウェーにも乗ってしまえ、と勢いで乗車券を買ってしまいました。


ロープウェーは、循環式のため、ゴンドラが次から次へとやってくるので、ほとんど待たずに乗車できました。
しかし…

悪天候により気温は低く、風雨も強く、最悪のコンディションといってもいいほど。
ゴンドラから箱根の景色を眺めようにも、霧につつまれて視界は悪く、強風でゴンドラも揺れていました。
なんで乗車したのだろう、と思っても、もはや後の祭り。
それでも、大涌谷の上空を通過したときは、息をのむような光景でした。
硫黄の噴出で、山肌は草木が生えずに土が露出したまま。
おそらく崩落もしやすいのか、山肌が階段状に切り取られ、土砂の流出を食い止めようとしている箇所も見えます。
源泉から湯を引くためのパイプが、その地面に這いまわされている光景は、何とも異様な次第。

異様な光景を眼下に見ながら早雲山駅に到着。標高1044M。
つい1時間ほど前までは標高ゼロの地点にいたので交通手段の発達ってすごいな、と思う限り。

大涌谷駅で乗り換え。
ここからは徐々に標高を下げて、姥子駅を経て、桃源台駅に到着しました。標高741M。

芦ノ湖の湖畔まで降りて行きました。
霧で対岸が見えません。

どうやら遊覧船が数分前に出ていった様子。
こんなところにいても雨風もますますひどいので、駅の中に戻ります。
船にも乗ってみたかったものの、こんな事までやっていたらこの日のうちに関西に帰られるかどうかわからないので、桃源台駅で折り返しました。

桃源台駅には、ベンチの上で猫が鎮座。
野良?
野良にしては毛並が比較的よかったような??
もっと猫を構っていたかったけど、小田原に戻るべく出発です。
ふたたびロープウェーに乗車。
相変わらず風雨が強く、ゴンドラもよく揺れました。
大涌谷駅で、乗車券は早雲山まで買っていますが途中下車できるとの事なので、大涌谷を見物すべく途中下車しました。
降りたら、ますます風雨が強い。
箱根の山の剣ヶ峰に位置しているので、山肌を伝って風が登ってきています。
風はもはや暴風。
持っている折り畳み傘がまったく役立ちません。

やっとの思いで↑コレを撮影して、土産物屋に避難。
避難してもその場しのぎであって、根本的解決にはなりません。
再び外に出て、駅まで暴風に煽られながら移動です。
晴れていれば大した距離ではないのですが、この日はとても長く感じました。
早雲山駅まで戻り、ケーブルに乗り換えです。
11時16分発、26レ。
往路と異なり、復路は観光の時間帯にさしかかっていましたので、結構乗車がありました。
強羅では、乗客が列をなして到着待ち。

到着した列車は、降車専用ホームで乗客を降ろしたのち、入換えを実施して↑の画像のホームに入線しました。
手間のかかる事を実施していましたが、乗降分離を図らなければ混乱するのかもしれません。

自分のようなオッサン世代には、箱根登山鉄道といえば、↑の車両のイメージが強いですね。
戦前から活躍しているのだとか。
このオールドタイマーに乗車。
強羅11時38分発、444レ。
オールドタイマーは、強力な発電ブレーキを効かせて坂を下っているようです。
スイッチバック構造の上大平台信号場に到着。

↑左の線路が強羅方、右が小田原方。高低差がすごいですね。

↑80‰の勾配票。

↑後から到着した強羅行が先に発車していきました。
車両の傾き具合がすごい限り。
箱根湯本に到着。

↑118レ、はこね18号。
このカラーのロマンスカーリバイバルカラーでしょうか。

↑7252レ、定刻ならば12時22分発。
ロマンスカーはこね18号の発車が遅れていたようで、そのあおりで、3〜4分遅れで発車です。

先頭でかぶりついていると、三線軌となっています。
小田原〜箱根湯本間は1067mmの小田急車のみ運行なれど、箱根湯本〜強羅間で運行の登山電車用車両は軌間が1435mmで、入生田駅に隣接する車庫をねぐらとしていて回送が必要なために三線軌としているもの。

関西ではあまり三線軌を見ないので、とても新鮮ですね。*3
その後も遅れをあまり回復できずに、3〜4分遅れで小田原に到着しました。

*1:ただし、箱根登山鉄道カラーの車両。

*2:例:近鉄生駒ケーブル梅屋敷駅

*3:近鉄橿原神宮前駅構内には、ほんの少しだけ四線軌があります。