タビテツ関東平野外周編その6 関東鉄道常総線

下館では、18きっぷ旅行者にも関わらず、水戸線に乗り換えません。
関東鉄道常総線に乗り換えます。

この路線、以前から気になっていたんですよね。
膨大な人口を擁する首都圏にありながら非電化、しかも一部には複線。
近年の日本の鉄道路線において、そもそも複線化されるような路線は、複線化の前にまず電化に踏み切る路線が多いですね。
電化で輸送力を増して、それでもいよいよ間に合わなくなったら複線化に踏み切るものです。
だけど、用地買収に大きな手間と費用を要するから、なかなか複線化は大変。
だから、篠栗線呉線奈良線山陰本線京都口、関西本線名古屋口*1など電化されても単線のままで本数が多い路線も各地にあります。
なので、近年、非電化複線という路線が大変希少となってきました。
横綱級としては函館本線室蘭本線五稜郭長万部東室蘭の大部分および沼ノ端〜岩見沢の一部、それ以外には札沼線桑園〜あいの里教育大筑豊本線折尾〜若松、東海交通事業全線、伊勢鉄道河原田〜中瀬古、そして関東鉄道常総線取手〜水海道ぐらいでしょうか。
このうち、残念にも(?)、2012年に札沼線は電化*2されてしまいました。
これから乗車する関東鉄道常総線は、茨城県石岡にある地磁気観測所の観測データに影響がでるとの理由で、本来ならばおそらく電化しているであろう輸送量なのに、直流電化できずにいる路線。
詳細はこちらを参照、およびこちらを参照
ならば交流電化にすればいいじゃないか、と思いたいところですが、交流電化は車両コストが高くなるので、あえて非電化を選択しているのです。
この路線が国鉄〜JRならば、おそらく電化されて、取手〜守谷間のどこかに交直セクションが設置されていたかもしれません。
そんな背景はどうあれ、希少価値ある単線非電化に乗車するのは何かマニア心をくすぐる面があります。
そんな訳で初めての乗車です。

↑の画像にあるように、階段で常総線乗り場に降りたところに中間改札口がありました。
私は真岡鉄道からの乗り換えなので、常総線の乗車券を所持しておらず、改札口の駅員氏より取手までの乗車券1460円を購入しようとしました。
駅員氏、「1日フリー切符があるよ、値段は1500円」との事。
私のようないかにもタビテツっぽい風体かつ、端(下館)から端(取手)まで乗車な訳ですから1日フリー切符を勧めてきたのでしょう。優秀な駅員氏だと思います。
しかし、私はあいにく、途中下車の予定も取手で折り返す予定もなかったので、1460円の片道乗車券を購入しました。
後になって思えば、1日フリー切符ならば手元に券を残せたから、40円を損してフリー切符でもよかったかな、と思うところ。


これから乗車するのは下館駅10時18分発7064列車快速取手行き。
5000系気動車、5002番の1両単行でした。
気動車とはいえ、車内はロングシート
気動車にありがちな、くすんだ雰囲気がまるでありません。まるで電車のよう。
そんな電車モドキは、座席の半分も埋まらない程度で発車。
発車するや左カーブが始まり、JR水戸線と別れます。
発車後4〜5分の大田郷で、普通を待たせてわが列車は通過。

取手への上り線が直線となっているので、あまり減速せずに通過かな、と思いきや、当駅取手側の分岐器がスプリングポイントなので、少し減速し通過しました。
これが下り列車ならば、駅への進入、進出ともに曲線側となるために、通過といえども大きく減速が必要となります。
このような配線の駅だったら、スプリングポイントをやめて弾性分岐器に交換して速度制限をなくし、上下列車とも直線側を通過できるように1線スルーにすればいいのに、と理想論を感じるところ。
しかしながら、この快速列車は特別料金を徴収している訳でなく、日に数本しかない通過列車のために多額の費用をかけて信号設備やCTCを改修するほどのものでもないのでしょう。
なので、途中の通過駅で時速30キロ程まで大きく減速し、分岐を抜けて駅の外方へ進出すると、ジリジリと加速していきます。
(理想論を言っておきながら)この通過っぷりがまだるっこしいんですけど、味があるんですよ。(^_^)


下妻は停車、ここでも普通列車と交換。
乗客がそれなりに入れ替わりますが、座席をすべて埋めるほどではない状況。

南石下→三妻付近では、だだっ広い関東平野を直線で突っ切っています。
直線なので、時速80〜90キロぐらい出ているかも。
建物がなければ、地平線が見えるのじゃないかと思えるほど。
先頭でかぶりついて前望していても、頭上に架空電車線が見えないので、こんなに空が広いのかと感じます。
三妻駅を通過。
またも下りの普通列車を待たせてこちらが通過します。

この駅は、取手側の分岐が曲線側なので、大きく減速して通過。
どうせここまで減速するなら、一昔前まで全国各地のローカル線で見られたような通票の通過授受をやってくれないかな?と妄想してしまいます(苦笑)
石下、水海道と主要駅のみ停車。
1両単行ですが、それなりに乗降があります。
水海道では、それなりに乗車があり、一部には立客まで出ました。
輸送量の一区切りとなっているようで、当駅を境に取手側が複線となります。冒頭で、希少な非電化複線と書いていたものです。
下り線側には、当駅止めの列車が停まっていました。
水海道を発車すると、左カーブとなり、さらに珍しいものがあります。
南水海道信号所で、当地に隣接して水海道車両基地という車庫が設置されており、その出入りのために信号所が設置されているものです。*3
左カーブしているさらに左側に車庫がみえ、いろんな車両が見え、一部には元JRキハ30・35と思しき車両も。

この信号所の面白いところは、車庫に乗務員基地もあって、信号所に停車して乗務員が交代するところです。
上の画像にあるように、小さな昇降台が見えますが、ここで乗務員が交代しているとのこと。
当信号所での交代を少し期待していたのですが、水海道駅で乗務員が交代したので、わが快速列車はあっさり通過でした。
前方に、高架の路線が見えてきますと、これがつくばエクスプレスで、交差地点に守谷駅が設置されています。
守谷11時03分着。

架線がないのに私鉄型2面4線の駅構造は珍しいところ。
この守谷で乗客の大半が下車しました。
入れ替わりに少し乗車がありましたが、TXが開通するまではこの乗客は終点の取手まで運べたであろうことを考えると、関東鉄道としては厳しい事態であることが容易に予想されます。
快速区間は守谷までで、ここから取手までは、各駅停車となります。
沿線に宅地が途切れることなく続いており、いちばんのドル箱?区間だろうから、こまめに乗客を拾う必要があるのでしょう。
また、ダイヤ上も、上下方向ともに守谷を始発・終着の列車が設定されているところを見ると、TX開業までは取手からスジを引けばよかったのが、いまは守谷も考慮してスジを引く必要にせまられているようです。
守谷11時04分発車。
ここから取手までの間は、駅間距離がぐっと短くなりました。
取手まで9.6kmの区間に8駅、一駅平均1.2km。なかには駅間わずか0.5kmの区間も。
宅地が多く、需要も大きいのでしょう。
こういうところを気動車で走ると加速が鈍いのと、省エネ運転のためにある程度勢いがついたらノッチオフで惰行に移るのでどうにもまだるっこしい。ここに気動車と電車との差を感じます。

短い駅間をまだるっこしく走って右カーブすると、向こうにJR常磐線が見えてきました。
取手11時22分到着。

*1:奈良線山陰本線京都口、関西本線名古屋口は部分複線

*2:北海道医療大学新十津川は非電化

*3:同様の事例は、仙石線宮城野信号場、関西本線佐保信号場、南海高野線千代田信号所、同・小原田信号所など