そうだ 九州 行こう その5(少しだけ九州新幹線、肥薩おれんじ鉄道、定番撮影地)

その4から続きです。


鹿児島中央で、はやとの風から、さくら414号に乗換えのため、中間改札を通り高架上の新幹線ホームへ移動。
これまた乗換時間がわずかで、新幹線をじっくり観察する事がままならない。
せっかく18切符を持っているのに、新幹線に乗るのは、後述の西方での時間を少しでも捻出するため。
新幹線に乗る事により、1時間捻出できるのである。
時間が有り余っている身分ではないので、金(新幹線)で時間(効率よい乗換えで捻出できる時間)を買う事に。
新幹線ホームへ上がると・・・。
この時間の鹿児島中央駅新幹線ホームは、4本ある線路の全てに車両が停まっていた。
2004年月の開業直後に乗車したが、この時は編成数も少なく、満線という事はなかったように思う。
(↓左から11番線、12番線、13番線、右奥の分かりにくい場所に入線しているのが14番線)

鹿児島中央駅の新幹線ホームの南側(終端側)は、ホームの長さに余裕がなく、鼻先の長い新幹線車両を撮影しようと思うと、手持ちのコンパクトデジカメを傾けて無理な構図じゃないと撮影できない。
こういう時には、広角レンズが羨ましいな、とつくづく実感。*1
12番線のさくら414号博多行きに乗車。
車両は800系。最後尾の1号車自由席に乗車。
800系は自由席でも座席が2+2列なので、実にゆったり。
800系でも最近増備された、壁面に金箔を貼ったゴージャスな車両をちょっと期待してたんだけど、そうではなかった。残念。
12時57分、鹿児島中央を定発。
発車するや否や、早速、薩摩田トンネルに入る。
九州新幹線はトンネルが多い。
川内までの間でも薩摩田Tを含め、長短8本ものトンネルに突っ込む。
何だか、クロスシート仕様の地下鉄に乗車しているような気分であるが、そんな気分に浸る間もなく、もう減速し、わずか13分で川内に到着。

在来線各駅停車で約50分だから、新幹線の利用が増えるはずである。
川内駅では、一旦改札口を出る。
その理由は「おれんじ18フリーきっぷ」を買い求めるため。
JRの青春18きっぷ所持者にのみ、おれんじ18を発売してくれるのである。
この区間は、通しで乗車しても2550円のところを、乗り降り自由で2000円なので、コストパフォーマンスが高い。
しかし、肥薩おれんじ鉄道の窓口を探すがよくわからない。
JR乗車券、肥薩おれんじ鉄道用乗車券とも購入できる自動券売機の画面を調べてみても、よくわからない。
仕方ないので、JRの職員に尋ねたら、肥薩おれんじ鉄道のホームに切符売場があり、そこで発売しているとの事。
もう少しわかりやすくアピールしてほしいな、と思う反面、あまりアピールしすぎると青春18切符所持者でない客との不公平感が拭えないから、あまりアピールしないのかなとも思う。

おれんじ18を無事買い求め、6128D新八代行きに乗車。
車両の先頭で記念撮影している家族連れがいて、運転士がシャッターを切っていたので、2−3分発車が遅れた。
少しでもサービスをよくして客を拾わないといけない三セクだけに止むを得ないところ。
発車直後は内陸を走行していたが、薩摩高城付近で東シナ海に近づき、オーシャンビューを楽しみたいところだけど、薩摩高城の次の西方で途中下車。川内からわずか21分。

西方駅は簡素な駅舎がある他は、駅前に数件の民家があるだけ。
行き違いの為の駅と言ってもいいぐらいに寂しい。
さて、駅前を国道3号線が線路に平行するように貫かれていて、3号線を徒歩で北上。

国道は多くのクルマが行き交い騒々しい。
この10%でも鉄道を利用すれば肥薩おれんじ鉄道の経営状況が改善なるのだけど・・・。
1km近くあるいたところで、国道は線路から離れるが、線路に平行するように脇道がそれているので、そちらへ向かう。
脇道は登り坂となっており、ヒイヒイフウフウと息を切らせながら登ると、左手に東シナ海がパッと広がった。
水平線上には、「Dr.コトー診療所」で有名になった甑島列島*2がうっすらと見える。
おそらく、本土に最も近い上甑島か。*3

この日のようにおだやかな海を見ていると何だか心が落ち着く。時にはとんでもない猛威をふるうのでもあるが。
さらに数百M歩くと、海岸沿いを通る肥薩おれんじ鉄道の線路がなだらかにS字カーブしている個所にたどりついた。
JR鹿児島本線時代から名撮影地の定番である地点。
私は撮り鉄派ではないのであるが、以前から一度行ってみたいと思っていたので今回、思い切って途中下車をした次第。
しかし、列車の本数は1時間に1本程度なので、なかなか撮影しにくい。
特急が走っていた時代はもう少し撮影頻度は高かったのだろう。
日差しがあり、風も弱くて、海岸に打ち寄せる波の音しか聞こえず、のんびりとした気分で数十分待っていると、撮影地北側の踏切の警報音が聞こえてきて、ほどなく、1両単行の6329Dが通過していった。

かつては特急つばめやED76に牽かれた寝台列車や貨物列車など長編成列車が行き交っていたところに、1両単行ではいまいち締まらないように感じる。
と言っても、普通列車ではせいぜい2両程度であろうし、長編成ならば貨物を待ちたいところでもあるが、あいにく時刻が分からないし、貨物は年末年始なのでウヤの心配もある。
なのでこの後、上り6130D(これも1両単行)を撮影して当地を後にした。
20分ほど歩いて西方駅に戻り、6132Dに乗車。
オレンジ色の転換クロスシート車が使用されていた。

進行方向左側前から2列目の座席が開いていた。
前望でき、かつ東シナ海を楽しむ事ができる上々の座席である。
だけど、前の座席の客の頭が邪魔なので、先頭部でかぶりつく。
阿久根を発車すると、次は赤瀬川信号場。
かつてのJR鹿児島本線時代には特急が頻発していたので、交換設備は少しでも多いに越したことはなく、信号場は必要であっただろうが、今は1時間に1本程度の普通が走るのみ。
この状況で信号場が必要なのであろうかと疑問に思う。
近頃はあまり必要のない信号場は使用停止措置または廃止措置とされている事例も多い*4ので、今も残っているのかこの目で確かめたかったのである。
すると、今も現役であった。

しかも、我が列車との交換列車があったのである。
交換列車は、8313D快速オーシャンライナーさつま3号。
鹿児島中央まで直通するのに1両単行とは寂しいなぁ。

相手は土日運転の臨時列車とはいえ格上の快速列車。
快速を待たせているとは驚きであった。*5
前望していると、赤瀬川信号場に限らず、ほぼ各駅に設置されている行き違い設備はそのまま残されている状況であった。
追い越しがなくほぼ平行ダイヤの現在、不要である追い越し用の線路が、信号機を横に向け使用停止とされているぐらいであり、交換設備は潤沢で、ダイヤの柔軟度・弾力性も確保されているようである。
しかし、肥薩おれんじ鉄道の経営も盤石とは言えないらしいので、今後どうなることか。


信号場といえば、新幹線開業とともに設置された新水俣駅は、元々は初野信号場。
偶然にも信号場のあった場所に、新幹線の駅が設置されたために、信号場から駅に格上げされている。

上下線の線路の間に、無理矢理ホームを設置したために実に幅狭である。
かつての阪神電鉄春日野道駅の島式ホームまで狭いとは言わないが*6、さながら剣が峰の上で列車を待つようなもの。
安全のために柵が取り付けられている。
また、土日運転の快速スーパーおれんじ号はこの駅を通過している。
八代、熊本へ行くのに、新幹線でなく、少しでも自社線を利用してほしいからだろう。*7


信号場絡みのネタといえば、津奈木−湯浦間のみ複線となっている。
この区間は、海岸から離れ山間部に分け入り、峠越えとなっている。
しかも駅間距離は8.4kmもあり長い。

輸送量が急激に増大しながらも電化はしばらく先の話である蒸気機関車牽引時代は、このような区間がネックであったので、線路容量を増やすために昭和41年に倉谷信号場を設置し、まず湯谷−倉谷(信)間を複線にしたのであるが、それでも対処しきれずに、昭和43年に倉谷(信)−津奈木間も複線化された。
その後昭和45年に熊本県川尻駅から鹿児島まで電化されたのであるが、この間わずか数年なのに段階的に輸送力増強されているところを見ると、いかにこの区間がネックで苦しかったかが、垣間見ることができる。*8 *9
しかし、我が列車は、この区間で対向列車とすれ違うかと思って見ていたが、湯浦駅まで結局すれ違いはないままであった。
仕方のない話であるが、複線がもったいないな、と思う。


列車は海沿いにさらに北上。
不知火海の多島エリアである。
(↓袋−水俣間)

この眺望を売りだせば、人気が出るのではないかと思う。
(↓海浦

JR九州が観光列車を各地に走らせているが、この沿線もその候補だと思う。
(↓御立岬公園−上田浦間)

しかし、JRとは別会社になってしまった。
肥薩おれんじ鉄道で、観光列車を走らせるだけの体力があるのかどうかわからないが、実現できないものだろうか。


この車内で、朝に人吉駅で購入しておきながら、食べるチャンスを逸していた駅弁「鮎ずし」を食べる。

鮎を縦方向に頭から尾びれまで2枚におろして、押し寿司としたものである。
(↓かばんの中に入れっぱなしであったので、身がずれてしまった)

鮎であり、脂があまりなく、さっぱりした味であった。
頭は骨があって食べられないかと思いきや、問題なく食べる事ができた。
個人的には、日本は海に囲まれた国土であり、魚介類は豊富(鮎は川魚だけど)である。
駅弁に関して肉系より魚介類系のほうが好みであり、他地域の旅行でも、魚介系駅弁を優先的に購入の傾向が。


海岸沿いを北上し、徐々に日が暮れていく。
八代に到着した頃は、もう真っ暗であった。
ここで、熊本行きに乗換え。

車両は815系のロングシート車。*10
暗く、かつロングシートゆえに車窓も期待できない。
熊本へは約40分の乗車時間中は、持参の文庫本を読書。
熊本18時31分に定着。
この後投宿。


【行程】
鹿児島中央1257→(5414Aさくら414)→1310川内1318→(6128D)→1339西方1536→(6132D)→1743八代1753→(6536M)→1831熊本


(続)

*1:実は、別の趣味で、特殊な用途の広角レンズを持っているのですが、ここでは使えないのです。

*2:原作の舞台のほう。TVドラマは沖縄県与那国島でロケ。

*3:Dr.コトーの舞台は下甑島。

*4:石北本線常紋、篠ノ井線羽尾、山陰本線相谷・滝山、関西本線伏屋・中在家、美祢線松ヶ瀬など

*5:快速を通過のダイヤにすると、毎日運転の6312D側にカラ待避が発生するので、これはこれでサービス上望ましい事ではないので、カラ待避の回避を優先したダイヤとしたのだろう。

*6:現在は相対式ホームに改良され幅狭ホームは解消

*7:似た例では、南海・泉北高速の区間急行が、地下鉄への乗客逸走を防ぐために中百舌鳥駅を通過するようなものであろうか

*8:このような区間は、全国各地に同様の事例がある。前後は単線なのに、なぜかポツンとひと駅分だけ複線というところは、同じような事情である事が多い。奥羽本線院内−及位間など

*9:また、複線化されずとも、将来の複線化を見越してトンネルだけは複線断面で掘っているようなところも多し。篠ノ井線明科−西条間の白坂トンネルなど

*10:よく、東北の701系東海道の211系などは、鉄道マニアからロングシートが悪口の対象となっていたが、九州の車両はあまり悪評を聞かない。なぜだろう? 車両数が少ないから目立たないのかな?