東海道新幹線 周波数変換装置

筆者的に興味を引くネタがありましたので、ご紹介をば。
JR東海より「東海道新幹線周波数変換装置の取替えについて」とのプレスリリースが発表されました。
東海道新幹線の電化方式と言えば、全線にわたり単相交流25000V 周波数60Hzです。

しかしながら日本の電力会社が発電する電気の周波数は、糸魚川富士川を境界に西が60Hz、東が50Hzと分離されており、東海道新幹線はこの境界線をまたいで建設されました。
分離されている理由は、明治期の日本において、発電設備を独力で製造する能力がなかったので、手っ取り早く外国から輸入していたのですが、東京エリアがドイツ製50Hzの発電設備、大阪エリアがアメリカ製60Hzの発電設備を輸入したことが、その原因だそうです。
これがその後も尾を引き、2011年東日本大震災の電力不足の際には西日本から東日本へ電力を融通しようにも、周波数が異なる点と、周波数を変える設備の能力が不足していたことで、融通が思うようにできなかったのは記憶に新しいところ。


さて、東海道新幹線においては全線が60Hzで建設されました。
山陽〜九州方面への延伸も視野に入れ、全線60Hzとされたのです。
では、東京駅から富士川までの50Hz区間の走行はどうするか?
当時は車両側にその対策を求めるのは難しかったようで、地上設備にて対応しよう、という事になりました。
そこでどう対応したかというと「周波数変換装置」の導入です。
ではどんなものか。
50Hzの電気でモータを回し、その回転力で60Hz用の発電機を動かして、東海道新幹線用の電力を得るというものでした。
これが、プレスリリースに書かれている「回転型周波数変換装置」で、今後は「静止型周波数変換装置」に取り替えていくとのことです。


東海道新幹線が開通した1964年は、周波数の違いを車両側(0系)では対応できず、地上設備側での対応となりました。
その後1982年に東北・上越新幹線が開通しました。
こちらは東日本なので周波数は50Hzのエリア。
車両は200系が使用されましたが、もちろん50Hz専用車両。
さらに時代が下り、1997年に開通した北陸新幹線高崎〜長野間は、軽井沢付近に周波数の境界線があります。
しかしながら、東海道新幹線のように地上設備での対応をしていません。
車両(開通当時E2系)に両周波数に対応した変圧器を搭載することで、対応となりました。

歴史にifは禁物ですが、東海道新幹線開通の1964年に両周波数で対応可能な車両が開発されていたら、東海道新幹線の東京〜富士川間の電化の周波数が60Hzのままか、それとも50Hzが採用されていたのか、とても気になるところです。