葛城山 ツツジ満開

ツツジ
春の花として、桜や藤などと同様に有名で人気のある花のひとつ。
日本人の心に深く根ざしている桜は別格として、ツツジも庭木などでポピュラーですね。
河内と大和を隔てる葛城山*1の山頂に、山肌を赤く染め上げるツツジの群生がありまして、ツツジを見るために、葛城山に5月20日に行ってきました。

葛城山へのアクセス方法としては、近鉄電車→御所駅奈良交通バス→葛城登山口→ロープウェー→葛城山上、というルートが一般的です。
さて、ツツジが咲き誇る時期となると、近鉄阿部野橋近鉄御所間に、臨時急行電車「葛城高原号」を土曜休日に2往復運転しているほど。*2

鉄道は輸送能力が大きいゆえにまだしも、ロープウェーについては、輸送能力が少なく、これを大きく超える旅客が押し寄せるのです。
ゴンドラ1台あたり、50名程度の定員ですし、宙吊りにしているために定員以上に詰め込む訳にもいきません。
この時期は、増発して約8分間隔の運転になるものの、それでも1時間あたり片道でたった350名しか輸送できません。
ゆえに、混雑がひどくなると2−3時間待ちという状況に・・・。


そんな状況を回避すべく、葛城登山口駅に午前7時に着くように、車を利用で訪問しました。*3
広くない駐車場は、この時点で既にかなりの台数が止められています。
ロープウェー乗り場に移動すると、7時10分の時点で、もう約20−30分待ちの状況。
(↓の画像が7時10分。さほど混雑しているようには見えませんが、画像以外の部分でソコソコの人数が待っています。)

整理券を確保し、しばらく待っているとやっと改札口の中へ通されました。
乗り場より山頂を見上げると、上っていくゴンドラと下りてくるゴンドラがそれぞれ見えます。

7時40分頃、ゴンドラが到着しますと、なんと3名の降車客がいました。
山頂のロッジで宿泊でもしていたのでしょうか?
やっと、ロープウェーに乗り込みました。

乗車したゴンドラ直下には、自力で登山している方も多く見えます。
自力でも2時間+αぐらいで登れるので、私は本命は自力登山だったのですが、同行の友人がロープウェー希望だったのです。
だけどロープウェーも悪くない。
眼下に奈良盆地が広がって見えてきます。

約6分で葛城山上駅に到着しました。
標高900M以上ともなると、まだ午前8時なので多少肌寒い。
標高が200M上がると1℃下がると言われます。
平地より4−5℃低くて、12−13℃程度かと。
遊歩道を10分少々歩きますとツツジ群生地に到達しました。

山肌一面、燃え上がるような赤色に染まっています。
壮観です。
8年前に来たときには、5月12日でまだ早く、ツボミが多くてあまり咲いていなかったのですが、今回は満開を狙ってきましたので、赤さがまるで違いますね。

(↑参考:2004年5月12日の画像です)

斜面を下りていきますと・・・

ちょうど谷間の箇所に、左右にツツジが咲き誇っています。
遊歩道には、ハイキングの方やカメラ撮影の方など、多くの方が思い思いにツツジの花を楽しんでおられますね。
カメラの方は、大きな三脚に、大きな望遠レンズ付きのカメラなど、重装備。
いい写真が撮れるのかな?


葛城高原ロッジの反対側斜面へやってきました。

向こう側の一番上が、登頂後まず最初にたどりついた箇所です。
結構な斜面で、上り下りが結構しんどいですね。


ツツジを見終え、葛城山の頂上に向かいます。

なぜか、山の地肌がむき出しになっています。
表土が雨で流れないのかな?
山頂には、このようなモニュメントがあり、多くの方が記念に撮影されていました。
そんな訳で私も一枚。

そして、頂上には三角点もありました。
地図を作成する際の基準になるポイントですね。

二等三角点です。この地点が頂上で、標高959.2M。


ツツジと頂上を楽しみましたので、これより下山です。
往路はロープウェーだったので、復路ぐらいは自力で行きました。
午前11時頃より下山開始しました。

時間的に、下りる人は少ないいっぽう、登ってくる人はたくさんいます。
登る人の列が途切れないので、脇へ寄って、登山道が譲ります。
道幅は狭く、特に斜面では危険防止のためにも待避して道を譲らざるを得ないのです。

(↑参考:2004年5月12日の画像)
「櫛羅の滝コース」という登山道*4なのですが、2009年の台風で大きな被害を受け、崩れたままで今も通れない部分があり、新たに設置された急勾配の迂回路を通らざるを得ない場所もところどころにあります。
そんな登山道なのに、どう見ても登山には不向きな靴で登ってくる方がチラホラ見られます。
ロープウェー乗り場が大混雑で、乗車まで2−3時間待ちゆえに、待つよりも自力で歩くのを選んでいる人も少なからずいるようです。*5
一番びっくりしたのはハイヒールの女性が一人いました。
どうやって登ってきたのだろうと不思議でならないし、途中であきらめて引き返すとしても大変そう。
この女性は男連れだったようで、デートでお洒落してきたつもりなのかもしれませんが、ハイヒールはさすがにいただけません。


また、こんなに混雑しているの登山道を、猛ダッシュで駆け下りていくトレイルランニングの人を3名ほど見ました。
ツツジの季節以外は人も少ないでしょうから走りやすいのかもしれませんが、これほどたくさんの登山客がいる中で、斜面を猛ダッシュしているのは、どう見ても危ない。
もしもバランスを崩してつまづいた場合、斜面で勢いがついたまま下へ転がり落ちていきかねません。
本人がケガするのはともかく、他人を巻き添えにしかねません。
これほどまでに人が多い時には、事故防止のためにも自重できないものかと感じました。


下山の途中に「櫛羅の滝」があります。

その昔、弘法大師がこの滝を訪れた時に、天竺にあるという「クジラの滝」に似ているゆえに、このように名付けたそうな。


12時半、ロープウェー登山口駅まで戻ってきました。
乗り場は大混雑。
なんと3時間待ちだとか。

(↑参考:2004年5月12日午前10時40分頃のロープウェー葛城登山口駅。広くない駅前はこのように大混雑)


駐車場に戻って車に乗りました。

さて、駐車場に余裕がないにも関わらず、車で訪れようとしている方が多いので、登山口へ至る道路*6がひどく渋滞しています。
県道30号線(通称:山麓線)にまで渋滞が長く続いています。
なので、葛城山近鉄御所駅を結ぶ奈良交通バスも増発しているにもかかわらず、巻き添えを喰らって動けません。
地域の生活道路にまで大きな影響を及ぼしている次第。
これでは、沿道の集落や登山道で、火災や急患が発生した時に、緊急車両の運転に支障があるかもしれません。
葛城山登山口の駐車場は3か所あるものの、ツツジの季節になるとキャパシティを大きく超えてマイカーが押し寄せますので、能力が絶対的に不足しています。
いっそのこと、ツツジの季節の週末だけでも、登山口へ至る道路は自動車を進入禁止としてもいいかもしれません。
上高地では、年間を通じてマイカー規制を実施しています。
これを参考として、近隣の学校のグラウンドなどを借り上げて臨時に駐車場とし、ここより葛城登山口へ直行する臨時バスを運転する方式を取れないものでしょうか。*7

*1:大阪府奈良県の県境にある大和葛城山の事です。大阪府和歌山県の県境にある和泉葛城山とは別モノ。

*2:2012年は、5月3日から20日までの土曜休日に運転。19〜20日は当初は運転予定なかったのですが、ツツジの開花状況により19〜20日も運転されました

*3:車利用は本意ではありませんが、この時間は、まだ奈良交通バスが運行していないのです。

*4:他に、多少遠回りの「北尾根コース」というルートもあり。

*5:私も2004年の登山時は、まさにそうでした。登山時だけでなく下山時もロープウェーをあきらめました。

*6:奈良県道213号線

*7:話が脱線しますが、故・宮脇俊三氏は自身の著作「夢の山岳鉄道」で、上高地についても取り上げています。マイカー規制を一歩進めて、バスすらも進入禁止とした上で鉄道を敷設し、急勾配区間にはスイスの山岳鉄道や大井川鉄道井川線で見られるようなラックレール式鉄道を敷設すればどうか、と夢を著しておられます。上高地に限らず観光客が押し寄せ各地で何かと問題が発生している昨今、検討する価値ありかと思います。