近江鉄道の年代モノ駅舎3様

前回記した近江鉄道について、味のある駅舎が3駅ありますので記してみたいと思います。


まずは鳥居本駅
近畿の駅百選にも選ばれています。

1931年に開業した当時のままの洋風建築の駅舎が今も健在です。
旧宿場町の最寄駅に瀟洒な洋風駅舎。
こう言えば失礼かもしれませんが、泥田に鶴が舞い降りたような洋風駅舎は昭和初期の当時としては、珍しかったに違いありません。
珍しい駅舎を生かして、コンサートやギャラリーなどかたまに実施されるそうです。


ちょっと話題が脱線しますが近江鉄道と言えば、旧中山道沿いにあるので、歴史が好きな人には鉄道以外にも面白いスポットかもしれません。
その代表が鳥居本
中山道の宿場町として栄えたのでしょう。
今もそのスポットが残っているので紹介されています。


とは言っても、今は21世紀の現代。
当時を偲ばせるような古いの建物はほとんど残っていない様子。
地域の方々も生活がありますので、同じ中山道の、馬籠・妻籠のように古い建物を残した宿場町のようにはなっていません。
しかし、こういった点を目にするのも旅の楽しみだと思います。

↑画像左下の「中山道 鳥居本」がなければ、ごくありふれた地方の集落にしか見えませんね。


続いては、新八日市駅
ここにも洋風建築の駅舎が残っています。

この駅舎は近江鉄道八日市線の前身で、湖南鉄道という鉄道会社の本社だったとの事です。
しかし今は無人駅なので平日のみ有人駅なので、週末のこの日はひっそり*1していました。


新八日市駅には木製の改札口が現役で設置されています。

自動改札でなくとも、金属の箱の中に駅員が立って改札できるタイプの改札口が多いと思いますが、木の柱を組み合わせたタイプの改札口は今はなかなか目にすることができないのではないでしょうか。


最後に日野駅
ここは有人駅で駅員氏も常駐しています。
平屋、瓦屋根、これぞオーソドックスな木造駅舎という感じですね。

このような駅舎はお守りに手間がかかるのでしょう。
近年は減ってきましたね。*2
近江鉄道の本音は、立て直したいのかもしれないでしょうが、地方私鉄の台所事情を考えるとなかなかそういう訳にもいかないのでしょう。


ホーム上の屋根を支える柱も木製です。
古レールを再利用した柱は結構見かけますが*3、木柱はなかなか見かけません。*4

年月が刻みこんだ「味」がありますものの、これもまたお守りは大変かもしれません。


地方中小私鉄には、いわば重厚長大・幹線輸送主義のJRとは異なる雰囲気があって、スルメのような噛めば噛むほど「味」が出てくるような鉄道会社が残っています。
どの会社も経営はラクではないようですので、我々鉄道マニアができる支援・協力といえば、何といっても乗車することだと思いますから*5近江鉄道に限らず「味」を求めて各地を訪問してみたいと思います。

*1:ひっそりと言っても、駅前の駐輪場には自転車が多く置かれていましたし、JR近江八幡で新快速に接続するように30分間隔で電車が走っているので、それなりには賑わっているのではないかと思います。

*2:地域の集会場や観光案内所的なものを併設したような駅舎に建て直されるのならば、いわば発展的解消とでもいえましょうが、古い駅舎をつぶして、出入り口の穴が開けただけの簡素な箱を置いたようなわびしい「駅舎」(と言っていいのか?)もちらほら見かけるようになりました。

*3:豊郷駅がそう。

*4:高宮駅も木製柱でした。

*5:近江鉄道が発売している土日限定の全線フリー1日乗車券「SSきっぷ」はわずか550円。貴生川〜米原で片道970円ですから、支援・協力とは言えいくらなんでも安すぎないかな、と思えるぐらい。そうは言いつつもこれを買って乗車しました(笑)