12月5日(7) 若桜駅C12 スーパーはくと号は増2号車

若桜駅に着きました。
いかにもローカル線終着駅な雰囲気でいい感じです。

旅客ホームに面した本線1本に、留置線や引上げ線など数本。
旅客車が留置されていたほか、若桜駅構内東端の終端には除雪用の黄色いモーターカーも留置されていました。
山間部に位置する若桜だと、海岸部の鳥取よりも雪がよく降るのでしょうか。
駅舎・本屋は木造平屋建て。
ここに出札窓口があり、窓口の奥には信号器や分岐器の制御盤が見えます。
かつての票券閉塞時代に使用されていたタブレットを収納する革のキャリアも吊るされています。
自動閉塞が故障した際に、代用閉塞で使用できるよう常備しているのでしょうか。


待合室には、ガラスケースが設置され、色々なものが展示されています。

通票、通券および通券箱、サボ、各種切符、カンテラなど。
ガラスケースの横にはお稲荷さんこと真っ赤に塗られた通票閉塞器も展示されています。
しかし、閉塞器に駅名が記されていないので、どこで使用されていたものかはわかりません。
若桜線の郡家−若桜間は、現在でこそ自動閉塞化されましたが、数年前までは非自動閉塞の一種である票券閉塞でした。
票券閉塞の場合、通票閉塞器は使用しないですから、因美線あたりで使われていた閉塞器を持ってきたのでしょうか。
まぁ、通票閉塞器は、腕木式信号器などとならんで、鉄道のノスタルジーを感じさせる器具のひとつですから、敢えて展示しているのかもしれません。(なお若桜駅に腕木の展示はありません)


若桜駅には、蒸気機関車C12が保存されています。
詳しくはココを参照→ http://homepage3.nifty.com/shun_suke_s/sl/index.html
これを見るべく、窓口で見学の申し込みをします。
C12は、若桜駅構内に保存されていますから、若桜駅の入場券や乗車券などが必要です。
私は1日乗車券を所持していました。→ http://www.infosakyu.ne.jp/~wakatetu/1day/80kinen.html
駅員さんから入場証を預かり首からぶら下げたら見学可能です。
見学ルート(というほど大層なものではないですが…)の看板が設置されていますので、このルートに従い、構内踏切を横断して機関車のあるほうに向かいました。
するとそこには黒光りするC12-167が。

短距離の簡易線用に作られたタンク式機関車だけあって、テンダ式の大ぶりな機関車と比べれば小ぶりではありますが、それでも堂々とした風格があります。
車輪やロッドなど足回りには油が注されて光っています。
静態保存の場合は、油の光りがなくてどうにも生気がないのですが、このC12は油光りで生気があります。
実は若桜駅に展示のC12はボイラで石炭を焚いて水を沸かす、いわゆる有火運転は不可能ですが、圧縮空気をシリンダに送り込む事で動かす事ができるように工夫されているのです。
C12が走行できるように2〜300Mほどの短距離ですが、レールが設置されています。
有火だとボイラの管理や石炭・水の調達が大変で大掛かりですので、何だか剥製を操り人形の如く動かしている感じではありますが、圧縮空気での小運転とはうまく考えたものですね。
画像のC12の隣に見える緑色のタンクが給水塔。有火運転しないので使わないでしょうが、キレイに色を塗っていますね。
また、C12の真下の、レールとレールの間に見える隙間がアッシュピット。
ボイラから石炭の燃えガラを落とすための窪みです。
このようなものまでキチンと整備されており、将来的に有火運転もできるのじゃないかと期待したくなります。


若桜駅には、C12の運転のために欠かせない装置がもうひとつあります。
車両の方向を変えるためのターンテーブルです。

蒸気機関車の時代は終点に着くと、機関車の方向転換が必要でした。
(方向転換せずにバック運転も可能ですが、機関士・機関助士が後ろ向きになるので前方の安全確認がやりにくいデメリットあり。自動車のバック運転がやりにくいのと同じですね)
ゆえに、ターンテーブルで方向転換を実施していました。
そのターンテーブルが、この若桜駅に残っていたのです。
昭和30〜40年代に無煙化と称して蒸気機関車からディーゼル運転・電気運転への転換が推進されました。
若桜線でも同様で、蒸気機関車牽引の列車はディーゼル機関車(おそらくDE10)に変更されました。
ディーゼル機関車だと、終端駅での機回しこそ必要ですが、機関車の前後両方向に運転台が設置されているために方向転換は不要です。
これを機に、若桜駅におけるターンテーブルは不要となったわけです。
不要ならば撤去すれば、と思うところですが、無煙化の時代は当時の国鉄が赤字を増大させつつある時代でもあった訳で、撤去するにもカネがかかります。
若桜線のような赤字路線にカネをかける訳にもいかず、また、若桜駅ターンテーブルが残っていることにより何かに支障する訳でもなく、ほったらかしにされていたところ、結果的に残ったのでしょう。
使われなくなってからは荒れるに任せているようで相当にひどくなっていたようですが、C12の圧縮空気運転を機に、ターンテーブルもきれいに整備されたようです。
C12の画像にある線路から、小運転線には直通できない配線となっており、ターンテーブルで向きを少しだけ変える事で小運転線に入線できる構造となっています。
私がC12を見学したときは、運転されていませんでしたが、機会があれば小運転線を動いているC12を見てみたいものです。


C12の見学が終わったらあとは大阪へ引き返すだけ。
若桜駅前にあるスーパーでビールとおつまみとサンドウィッチを買い込み、若桜町に少しだけですがおカネを落とします。
若桜駅16時13分発1342Dで郡家に向かいます。
復路では往路のように眠りこけることもなくしっかり車窓を観察。
郡家には16時44分着。
1342Dは鳥取直通ですが、私は京都行きのスーパーはくと12号に乗り換えるため下車します。
初冬の夕方は日没が早く、西の空にかすかに赤みを残していますがこの時間ですでにかなり薄暗くなっていました。


62Dスーパーはくと12号は郡家駅を17時03分発。
Sはくとは所定だと5両編成(鳥取← 1自 2自 3指 4指+G 5指 →京都)ですが、かにカニエクスプレスの指定列車ですから冬は増結されるようです。

私の指定券は「増2号車」と印刷されていました。(これを「まし2ごうしゃ」と読みます)
6両編成ならば1〜6号車とすればよいのではないか、と思いたいところですが、指定券発売の1カ月前段階では5両編成だったところ、発売以降の売れ行き具合を見て増結したのかもしれません。
5号車の前に増結してそれを6号車としてもよさそうなものですが、先頭車と中間車で座席の配置が異なったりすることもあり得ますから、増2号車としたものと思います。
増2号車は、2号車と3号車の間に連結されています。
この増結の影響からか、郡家駅では最後尾の1号車のうち半分ほどがホームからはみ出しての停車となりました。
SはくとのHOT7000系は近年内装の改良が行なわれ、木目調の車内に改装されているのですが、私の増2号車は改装されていませんでした。
まずは改装された車両から基本編成の中に組み込み、未改装の車両はこれからの改装ということで予備車としているのでしょうか。
車内をざっと見回ると、まずまずの乗車です。6〜7割は埋まっていそうです。
私の増2号車はあとから連結が設定された号車だからかどうか知りませんが半分ほどの乗り具合。
このようにまずまずの乗車率なのに、車内販売がありません。
2008年頃から車販を中止したようです。
カニを食べに行った帰りの乗客がいる訳ですから、車販がいればそれなりに売れると思うのですが。
若桜駅前のスーパーでビールを買った理由はここにあった訳です。
郡家駅にも売店はなさそうでしたから、若桜で買い込んで正解でした。
日は完全に暮れて車窓は真っ暗。
Sはくとは高速で走れるように改良された規格の高い路線をバリバリと走ります。
山陽本線以外はバリバリとは走れなかったはまかぜとは明らかに走りっぷりが異なります。
路盤の高規格化(重軌条化+1線スルー化)と、車両の高性能化(最高速度アップ+振り子車)を実施したがゆえに叶えられる結果ですね。
はまかぜの新車(キハ189系)や、こうのとり・くろしおの新車(287系)は非振り子車ですから、どうにも片手落ちな印象です。
一部の鉄道マニアの論調を見ていると、近頃の新車は低重心構造だから非振り子車でも381系同等の走行ができるとか言っていますが、更なる高速化を目指してこそ他の交通モードとの競争で優位に立つべきではないでしょうか。


Sはくと12の車内は郡家以遠、姫路まで車内は目立った動きなし。
上郡、相生で少々の下車あり。
相生の停車は驚きました。
7往復の内、朝の下りと夕方の上りの2本ずつが停車しています。
赤穂線沿線のかにカニツアー客の乗降を見込んでの臨時停車でしょうか。
やはり姫路で結構下車が多かった。
姫路を過ぎると閑散としました。
閑散とした車内であるがゆえに逆にエンジン音がよく聞こえながら、大阪に19時31分着でした。
列車は京都まで行きますが私は大阪で下車します。


環状線内回りに乗り換え天王寺で降ります。
ふと阪和線ホームに目をやると、223系にしては側面の窓割に違和感が少しある車両が見えます。
まさかと思って阪和線ホーム2番線に行きますと、新車の225系5000番台でした。
やっと見られましたわ。

(2985M快速紀伊田辺行き)