そうだ 九州 行こう その3(濃霧の肥薩線・くま川鉄道、そして通票閉塞)

その2からの続きです。


12月31日、進路を南へむけます。
周囲はまだ暗い中、チェックアウトし出発。
2004年に新八代駅が開業しかれこれ7年経過するが、駅前はロータリーこそ開発されているものの、ビジネスホテルとマンションがそれぞれ一棟ずつ建つ以外はいまだ更地のまま。
九州新幹線部分開通時は「乗換の為の駅」であったため、開発があまり進まなかったのかもしれないが、全線開通し、宮崎へのバスの乗換駅として新たに設定された為、今後の飛躍が期待される駅。
だけど、安中榛名七戸十和田のような例もあるので、今後は果たしてどうなるか…?
そんな新八代駅よりひと駅だけ乗車し肥薩線起点の八代へ。
八代646発人吉行き1223Dに乗換。
しかし、折り返し予定の人吉発の1220Dが到着予定時刻になっても到着しない。
なぜ上りの始発列車が遅れるのか…?
そんな疑問を持っているとキハ40の1両単行が約10分遅れで到着。

すぐに折り返さなければならない我が1223Dはエンド交換が済み次第出発。9分遅れ。
人吉ではくま川鉄道との乗り継ぎが際どいため、少し気が揉む。
坂木−葉木付近で周囲が徐々に明るくなってきたので球磨川の車窓に期待。

空は白んじてきても光はまだ不足し山は黒いまま、しかし川面には水蒸気が立ち込めていて、さながら水墨画の様な景色。
瀬戸石で時刻表上では15分停車。これで遅れが取り戻せそう。
ダイヤ上ではこの15分で普通1222Dと特急1072D九州横断特急2号の2本と交換。
対向の普通はやや遅れて到着、すぐに出発。特急は1〜2分の遅れで到着。
特急到着次第、我が列車は出発。これで遅れはほぼ取り戻せた。
渡駅を過ぎた辺りから霧が出てきた。車窓から見ても視界は300〜400M程度か。

遅れの理由が理解できた。霧が原因でした。
人吉盆地は濃霧の多発地帯で有名。
上りの始発は暗い上に濃霧だから徐行運転せざるを得なかったのだろう。
しかし、我が下り列車は霧なれど徐行しているような様子ではない。
徐行せずとも運転できるだけの視界がギリギリあるということか。
結局、人吉定時着。


ここでくま川鉄道に乗換。
この路線は未乗で今回が初めて。
同じ駅設備を共用しているのに、駅名が異なるとは珍しい*1
車両はJR九州から購入したKT311(JR時代のキハ31)。

転換クロスシートは嬉しいところであるが、内装がいかにもくたびれていて、清掃も行き届いていない様子。これはいただけない。
列車は上記の通り濃霧の中を出発。
これでは車窓は絶望的。
こうなると、唯一のみどころは、九州最後の通票交換ぐらい。
閉塞区間は…
人吉温泉−(2)−あさぎり−(1)−湯前
あさぎり駅で通票の受け渡しを実施。*2
起点の人吉温泉駅の出発信号機には湯前方出発信号機の下に通票の携帯が必要である標識*3が設置されている。
この標識を見るのは何年ぶりだろう。

列車は濃霧の中を出発。
霧が邪魔して車窓がイマイチ。
あさぎり駅では上り列車(水戸岡氏デザインのKUMA車両だった)は先着しており、駅員が上り列車から受け取った通票を持って、我が下り列車の到着を待っていた。

なので、我が列車は、通票の交換を済ませたらすぐに発車であった。
これが逆の立場(今回ならば上り列車)だったら通票の受け渡しに時間がかかって趣味的には面白いのだけど。
相変わらずの濃霧。
多良木ではブルートレイン車両が見えた。

この保存車両は、屋根の下に据え置かれているので幸せだと思う。雨ざらしだと風雨で傷みが早くなってしまう。
終点湯前に到着。
駅周辺をブラリと散策したいところだが、わずか7分で折り返すので、それは叶わず。
かつて、この湯前駅から、宮崎県の旧・妻線妻駅を結ぶ国鉄バス日肥線があったなんて、今は昔。

湯前ではわずか7分で折り返し。
相変わらずの濃霧。
今度は上り列車で下り列車と通票の交換を期待したいところ。
ところが、あさぎり駅で我が上り列車は、あいにく行き違いないまま通票の交換をあっさりと済ませて出発・・・
非自動閉塞区間の醍醐味をイマイチ味わえず。

(↑肩にキャリアを担ぐ姿って、いかにも鉄道員らしくて格好いいですよね)
川村駅相良藩願成寺駅付近で霧が多少薄くなってきたものの、結局完全に晴れる事なく人吉温泉駅に到着。
駅ホーム上にあるくま川鉄道の執務室には、現役の通票閉塞器が見える。

画像はガラス越しで見にくいが、まぎれもなく現役の通票閉塞器。
これを操作するところを見たいが、そんな事をしていたら2時間待ちとなるので、列車を乗り継いで先へと進んでいく。


12月31日前半の行程
新八代633→(6321M)→636八代646→(1223D)→815人吉/人吉温泉821→(7D)→903湯前910→(8D)→951人吉温泉 以遠は後日アップ。


(続)

*1:JR:人吉、くま鉄:人吉温泉

*2:カッコ内の数字は通票種別。種別とは要するに通票の穴の形。一般的には1種丸、2種四角、3種三角、4種楕円。例外あり。

*3:ひし形の中に「票」の文字。基本的には自動閉塞区間から非自動閉塞区間への入り口の信号機に設置。下の画像の3番線用出発信号機は吉松方、湯前方の両方に出発可能であるが、吉松方は自動閉塞になるので標識なし。非自動閉塞・通票使用の湯前方のみ出発信号機の下に標識を設置。