リニア・鉄道館

今春、名古屋の埋め立て地にオープンしたリニア・鉄道館を訪問してきました。

開業早々、ぜひ足を運んでみたいと思っていたのですが、このためだけにわざわざ名古屋に行くのもなんだかなぁ、と悩んでいたところ、先日名古屋に用事が出来たのです。
これぞ好機と思い、足を運んできました。


入館早々、まず目に入るのがC62-17。

日本最大の旅客用蒸機だけあって、その存在感に圧倒され鳥肌が立ちます。
その横には新幹線試作車300X、さらにその横にはリニアの試作車MLX01も展示されています。
このフロアのコンセプトは、スピード記録に挑戦した車両を展示する事のようです。
新幹線やリニアは、これはこれで技術の粋を集結した素晴らしい車両なのですが、どうにも迫力に乏しい。
やはりC62の圧倒的な存在感には叶いませんね。


そして、館内の奥へ進むと、東海道新幹線中京圏の在来線で活躍した車両を中心に展示されています。

詳細は、私の拙い文章で書き込むよりも、現地でご覧いただくほうが、はるかにわかりやすいかと思います。


私が個人的に気になった展示について独断と偏見で以下に書き込んでみようと思います。
まずは165系
大垣夜行で何度もお世話になった車両です。
クモハ165も十分に貴重だと思いますが、よくぞサロ165を残しておいてくれたもんだと、感慨深いです。

サロなんて、用途がなくなると早々と解体されるでしょうしね。
しかも、ユニット窓タイプのサロでなく、オリジナルの下降窓タイプのサロだということが尚うれしいところ。(サロにおけるユニット窓と下降窓の違いをご存じない方はご自身で調べてみてください)


架線のしくみについて展示。

新幹線が高速で走行するためのエネルギー源、架線。
極めて地味なれど、これがなければ新幹線車両はただの鉄の塊にすぎません。
(今は鉄ではなくてアルミですね)


双頭レールです。

鉄道創成期に使用されていたレールで、片側が摩耗すれば、ひっくり返してもう片側を利用できるというスグレもの。
ただし、レールの固定に難があったようで、その後すたれてしまい現在の形状へと進化していきました。

よくもまあ、こんなものが残っていたもんです。


みどりの窓口でおなじみ「マルス」のM型端末。
ノートのページをめくるかのようにして駅や列車名など必要なデータを探し出し、当該項目にピンを差し込んで発券していました。

私が大学生の頃、定期券をこの機械で発行してもらっていたことを覚えています。
この機種は使い勝手がよかったのでしょうか、大きな駅の窓口には必ずといってもいいぐらいに設置されていましたが、コンピュータの進歩は日進月歩。
いつのまにか数を減らしていき、21世紀頃を境に見られなくなったように思います。


「日本国民の叡智と努力」
(本物は東京駅18番・19番線の下にあるコンコースに設置されており、リニア鉄道館のこれはレプリカです)

新幹線建設に関係する全て事柄がこの碑文に凝縮されています。
ワタクシごときの解説や感想なぞ不要ですね。
以上、独断と偏見で興味をひいた点をピックアップしてみました。


さて、鉄道の博物館・資料館は、何と言っても大宮にある鉄道博物館が圧巻です。
鉄道博物館は戦後の高度成長期、いわゆる国鉄の黄金期の車両を中心に展示されています。
何と言ってもこれが最大のセールスポイントなのでしょう。
そのいっぽう、名古屋に開設されたリニア・鉄道館は、大宮と同じ事をやっていても二番煎じでしかありません。
そこで、「スピード記録」にこだわった展示を狙ったのでしょう。
各車両とも、解説文に最高速度が目立つように記入されていました。


個人的には、151系を、レプリカを作ってでも展示してほしかったなと感じました。
何しろ、東海道の花形を展示しているのですから、東海道本線電化後・新幹線開業前の主役といえば何と言っても151系
速度は最高110km/hですが、東京・大阪間を日帰りで1往復を可能にした画期的な車両ですから、少々おカネがかかるでしょうけど、ぜひ実現してほしいと思います。
夢を言えば、クロ151パーラーカーをぜひ再現してほしいところ。
(なお、大阪の交通科学博物館には先頭部だけのレプリカがあります)


埼玉、名古屋で新しく鉄道の博物館が完成したとなると、大阪も黙っていられませんね。
弁天町駅高架下の交通科学博物館は1962年にオープンしてますから間もなく創立50年。
展示品・内容に目新しさが乏しくなってきています。
(展示品は貴重なものばかりですから、目新しさとは相反するのですが(笑))
梅小路に移転して蒸気機関車館と統合するような話もありますので、どのような展示がなされるのか大変楽しみなところです。