JR2011年ダイヤ改正ネタ その1 九州新幹線ダイヤ

以前のブログで、ダイヤ改正の概要について思う事を書いてみました。
このほど、2011年3月改正の時刻表が発売されました。
愛読書が時刻表と言っても過言ではないぐらいな私(笑)なので、九州新幹線のダイヤ詳細が大変気になります。


さっそく、時刻表を眺めてみたところ…
博多−熊本間は本数が多い。
・8〜9時代の上りは毎時5本の設定
・それ以外の時間帯では毎時4本の設定


熊本−鹿児島中央間は半減。
・大阪直通さくらと九州島内さくらの各1本ずつ。合計毎時2本。


整備新幹線区間としては本数が多い部類に入る模様です。
たとえば、
北陸新幹線(高崎−長野)
東北新幹線(盛岡−新青森
これらの区間は、おおむね毎時1本、ラッシュ時や臨時のスジを入れても毎時2本程度の本数。
これら線区と九州新幹線を比較すると本数は倍増しています。
整備新幹線のインフラは、運行本数は毎時1本程度、最高速度260km/hを念頭において設計されており、九州新幹線は速度の面はともかく、運行本数はかなり多いですね。


沿線の人口も、東北新幹線・北陸(長野)新幹線と比べてもかなり多く、九州新幹線ができる以前から、九州島内は流動がさかんな地域で、特に鹿児島本線沿線は北九州市・福岡市・熊本市鹿児島市と有力な都市が並んでいるために、JRでは特急つばめ、有明などが多数設定されていました。
JR以外にも、西日本鉄道、高速バス、航空機などが、それぞれ熾烈な競争を行なっているエリアです。
地域の実情を反映して、本数もかなり多く設定されたのでしょう。


こんなに本数が多いのならば、きっとどこかに特徴があるものだと思い、WINDIAでダイヤグラムを作成した上でダイヤを眺めてみました。


・熊本で九州島内さくら(熊本以南各停タイプ)と、各停つばめ(博多−熊本)が半緩急接続を実施。
データイムは山陽直通さくらと九州島内さくらの間に、各停のつばめが設定されている。(つばめは追い越されない)
・本数の割に追い越しの事例は少ない。
 追い越しできる駅そのものが少ないのもその要因。
 【下り】
 (1)みずほ601/つばめ333 熊本(緩急接続)
 (2)さくら543/つばめ339 新鳥栖(緩急接続)
 (3)さくら429/つばめ365 筑後船小屋(通過追い越し)
 (4)みずほ605/つばめ367 新鳥栖(通過追い越し)
 (5)みずほ607/つばめ375 筑後船小屋(通過追い越し)


 【上り】
 (6)みずほ600/つばめ328 新鳥栖(通過追い越し)
 (7)みずほ602/つばめ334 新鳥栖(通過追い越し)
 (8)さくら562/臨時さくら436 新水俣(通過追い越し、後者の運転日のみ)
 (9)さくら566/臨時さくら438 新水俣(通過追い越し、後者の運転日のみ)
 (10)みずほ604/つばめ360 新鳥栖(通過追い越し)
 (11)みずほ606/つばめ368 熊本(緩急接続)


特に博多−熊本間は、つばめが邪魔をしてみずほ・さくらのスジが設定しにくそうな印象。
新鳥栖での追い越しが何本かあり、その中でも下り(2)は緩急接続タイプの追い越し。
追い越される側のつばめ339は当駅で8〜9分も停車するダイヤとなっています。
それ以外にもみずほ絡みで追い越しがありますね。
ターミナルの博多の次でいきなり追い越されるというのも、あまり印象の良いものではないですね。
東海道新幹線では、東京を発車して次の新横浜での追い越しは、こだまの旅客に対して印象が悪いため、極力回避するようなダイヤを組んでいたそうです。数は少ないながらも何本かはあったようですが。
今は、全旅客列車が東京・品川・新横浜に停車するのでこの区間は平行ダイヤとなり、新横浜での追い越しはありません。回送や団体、臨時はどうなのかは分かりません)


夕方には筑後船小屋での追い越しが2例あります。
筑後船小屋では追い越し以外にも早朝深夜のつばめが当駅発着となり、待避線で折り返しとなるのですが、この設備を利用しての追い越しを、少ないながらも実施となりました。
JR九州としては、下り線だけでなく、上り線にも待避線が欲しいのではないでしょうか。


熊本は2面4線の追い越しをしやすそうな配線ですが、熊本止まりのさくらとつばめが毎時1本ずつあり、これらの折り返しや、車両基地への回送などで輻輳するが故に、熊本での追い越しはあまり実施したくなかったのではないでしょうか。
ゆえに、上下1回ずつの追い越ししかないと推測します。


意外だったのは、臨時のみとは言え、新水俣での追い越しが上りで2本設定されている点でした。
臨時のスジを引く上で、博多駅ホームの空きが一番のポイントとなるでしょうから、この点から逆算してスジを引いたら、新水俣で追い越しが発生したのかもしれません。
(東北上越新幹線が開業する前(昭和57年)の上野駅における上野発着臨時列車では、上野−終点のスジを引けても「上野の穴(→上野駅ホームの空き)」が見つけられない事には、臨時列車のスジを入れたくても入れられなかったという苦労話がありました)
このように考えましたので、博多駅の発着番線と入線時刻(上りのみ)の表示がなされているのをいいことに、上記臨時2本が博多に到着する時間帯の駅構内作業ダイヤを、時刻表を元に描いてみました。
すると案の定、「穴」があったのです。
この穴を利用して上りだけでなく、下りの臨時も設定されていました。

(↑我流で作りましたので、鉄道会社にて正式に使用されているものとは異なります)


臨時用の「穴」で気付いた事が、さくら用の穴と、のぞみ用の穴が厳然と区別されているらしい?事でした。
それぞれの「穴」を共用できれば、もう少し余裕が出てくるんじゃないのか、と思うのですが、会社の境界駅でもあるので、敢えて区別しているのかもしれません。
(他の時間帯まで構内ダイヤを調べた訳ではないので、絶対そうであるとは言い切れないのですが)


博多駅は、16両がスルーできる線路は5線しかなく、もう1線は最大8両で鹿児島中央方面にしか発着できない中で山陽と九州からの列車が輻輳しており、7線ある新大阪と比べても、ダイヤ設定時の苦しさは匹敵するのではないでしょうか。