はまかぜ キハ181引退

昨日11月6日で特急はまかぜ(大阪〜香住・浜坂・鳥取)に使用のキハ181系がついに引退となりました。
最後の出発を見ようと大阪駅には800人も集まったそうですねぇ…
今日(11月7日)からは新車キハ189系に変更となります。
http://railf.jp/news/2010/11/07/123500.html
http://rail.hobidas.com/blog/natori/archives/2010/04/189.html

キハ181は昭和40年代に登場してからおよそ40年、他の地域では各種事情によりもっと早くに引退しており、はまかぜが最後の活躍となりました。(来年までは臨時用として残るそうです)

さて私自身のキハ181の思い出を少し。

(↑鳥取にて)


(1)大学に進学するようになって、それまでは近鉄電車しか縁のなかった私がJR大阪環状線に乗るようになり、大阪駅でよくはまかぜを見るようになりました。
この当時はもちろん国鉄色(クリーム色の車体に窓回り赤帯)。
当時のビンボーな私にはこんな列車に乗る事はできず、指をくわえて眺めているだけ。
指をくわえて眺めていたとき驚いたのは、リクライニングシートでない座席の車両を見た時です。背もたれの角度を変える事ができない座席です。
簡易リクライニングですらなかったので驚きました。
この当時は平成ヒト桁。
国鉄からJRに変わったとはいえ図体のデカイ組織で、保有する車両も多く、改良の手がなかなか回らなかったのでしょう。
当時ははまかぜに限らずまだまだ国鉄の雰囲気をひきずっていましたね。


(2)1990年代終盤、社会人になって金に余裕が出てきてから、乗り鉄趣味が本格化してきました。
ミニ周遊券(→もう死語)で山陰西部を乗りまわしていたとき、接続のよかった列車がキハ181使用の特急いそかぜ
ミニ周遊券だと急行は乗車できるのですが特急乗車の場合、特急料金は別払いだったのです。
当時はこの地域に急行さんべと特急いそかぜが走っており、余計な料金を払いたくなかったが故にさんべに乗りたかったのですが時刻があわず、接続がちょうど良かったいそかぜに自由席特急料金を払って乗りました。
長門市→下関でした。
さすが山陰本線。車窓から見る海の眺めが素晴らしい。
いそかぜという列車名と車窓が見事にマッチしていましたね。
だけど車窓だけではそれほどのネタになりません。
何と言っても驚いたのはトイレに用をたしに行った時です。
和式の便器があり、ブツが流れていくの穴をふと見ると、見えるんですよ。
流れるバラストと枕木が…。
驚きました。
黄害(→これまた死語)という言葉が出始めておそらく30〜40年は経っているでしょうか。
もう少しで21世紀だろうというのに、しかも特急車なのに垂れ流し便所が残っているとは思いませんでした。
さすがは山陰本線です。何かにつけて後回し。こんなものまで後回しだったとは。

(↑小郡(現:新山口)にて。右側のキハ58は「さんべ色」。急行さんべではありません)


(3)はまかぜに乗った時です。
21世紀に入った直後のこの頃には国鉄色から現在のJR色に塗り替えられていました。
18きっぷ利用でしたが、接続の悪い区間をいわゆる「ワープ」し、はまかぜに乗りました。
確か八鹿か江原のどちらかから浜坂まで利用だったと思います。
豊岡を過ぎるとガラガラになりました。
最後の停車駅の香住を発車した列車は、車内整備の係員が乗り込んできてゴミの回収とイスの回転を始めました。
落ち着かないなぁ、と思いながら窓外を眺めます。
さすがに乗客のいる席までは回転させません。
列車は鎧駅を通過すると、トンネルの中に入ります。
暗い中をじりじりと進みトンネルを抜けるとパッと視界が開けました。
向こうには夏の陽光を浴びて群青色の日本海が、視界の真下には集落が見えます。
いわゆる余部橋梁です。
空いている列車から独占できる車窓は本当に良かったです。
その後、余部橋梁の架け替え計画の進展に伴い人気が出てきて、普通列車にまで橋梁見物のバスツアー客までもが流れ込み、落ち着いて眺められる状況ではなくなりました。

(↑餘部駅至近のお立ち台にて)


唯一の心残りは、はまかぜを大阪〜姫路間で乗車しなかった事。
この区間は新快速が頻発している上に、はまかぜより新快速のほうが速く所要時間が少しだけ短いのです。
なのでわざわざ料金を払ってまで乗るのもアホらしいので未乗でした。
しかし、この区間はキハ181はまかぜが新快速の邪魔にならないように、時速120キロで疾走する区間なのです。
播但線〜山陰線のカーブが多く軌道の弱い区間ではせいぜい時速80〜90キロでしか走りません。
エンジン音といい、疾走感といい、雰囲気が極端に異なる区間を直通する列車で、キハ181の設計思想通りの走行を体験できる最後の列車でもありました。

定期運行は11月6日で終了となりましたが、かにカニ列車などでこの冬はまだ走りますから、この機会にでも何とか乗車しておきたいなと思っています。