わたらせ渓谷鉄道 桐生→通洞

上毛電鉄西桐生駅から5分ほど歩くと、JRとわたらせ渓谷鉄道(以下「わ鉄」と省略)の桐生駅です。
共同使用駅ですので、一見するとJRの駅にしか見えません。
駅は立派な高架駅となっており、1Fに改札、階段を上がればホームとなっています。
1日フリーきっぷ(1800円)を自動券売機で買い求め、ホームに上がります。
1番線にはすでにチョコレート色で2両連結のディーゼルカーが停車していました。
先頭はレールバスタイプの小さな車両、2両目はひと回り大きく近年の3セク各線でよく見るタイプの車両でした。
車両をよく見ると、塗装がはげ落ちて地肌がむき出しでサビがでている個所があります。

レールバスタイプの車両は、耐用年数を超えているのかもしれません。
痛々しいので、はげている所だけでも色を塗りなおしてほしいところです。

座席は先頭車に1ボックスが開いていたのでここに座ります。
が、発車までの間に結構乗車してきます。
私のボックスの向かい側にも乗客がきました。
1ボックスを1人で占領できたらいいなぁ、と思ってましたが、秋の行楽期ゆえ仕方ないですね。
立ち客はなく(自発的に先頭でかぶりつきしている人は別)、ほどよく座席も埋まったところで桐生を発車しました。

発車しますと、JRの線路上を走ります。
わ鉄は、桐生から1.7km西方にある下新田信号場まではJRの線路上を通ります。
しかも、下新田まで、一見複線のように見える線路の右側を通って進みます。
実は、右側が本線で、左側は下新田信号場付近にある車庫への入出庫線なのです。
渡良瀬川を渡りほどなくすると、下新田信号場です。


(↑この2枚の写真は今回撮影したものではなく、5年前に両毛線に乗った時に撮影したものです)
スピードを落としながら輻輳する線路の一番右側に入ると、ほどなく停車しました。
ここにわ鉄のみ下新田駅を設置しているのです。
そのために速度を落とした訳です。
この駅は国鉄JR時代にはなく、3セク転換後に設置された駅で、JR両毛線の列車は停まりません。

次は相老で、東武との連絡駅です。
列車が相老のホームに滑り込みますと、ホーム上には鈴なりの人だかりが…。
全部が乗り込む訳ではなく、おそらく半数以上は、後続のトロッコ列車に乗るものと思われますが、それでも私の列車にどんどん乗車があり、座席は完全に埋まり、立ち客もいくらか出ました。
3連休で行楽シーズンとは言え、これは予想外の混雑でした。
しかし、3セク線が生き残っていくには、少しでも収入を増やさないといけないですから、この混雑はやむを得ません。
しかも、カゴを持った車内販売が現れました。
地元の名物やらを売っているようです。
地方の路線で車販を見た記憶といえば、津軽鉄道のストーブ列車ぐらいしか記憶にありません。

混んでいるので進行方向左側の車窓を見るしかないのですが、これがまた悪いことに、
渡良瀬川の右岸に線路がありますので、見えるのは山や岩肌ばかり。
いちおう右側の車窓も見ますが立ち客の隙間からチラと見える程度なので落ち着きません。
水沼に着きますと、いくらかの下車がありました。
ここには駅に温泉施設が併設されているからでしょう。
しかし相変わらずの混雑です。

神戸駅に着きます。
(「こうべ」じゃないよ。「かんべ」でもないよ。「ごうど」だよ)
ここで車販は降りました。
この駅には東武の廃車体を設置してレストランとして営業している店があります。
(この車中からはよくわからなかったのですが、復路の際に車両レストランを見ますと、結構にぎわっているようでした)
ホーム上にそこそこ人がいるのですが、乗り込んできません。
後続のトロッコを待ってるのかな?

神戸を発車すると、長いトンネルに入ります。
ダム建設に伴い、湖底に沈む線路の代替ルートとしてこのトンネルが掘られたそうですね。
5キロもありますので長い。
トンネル内独特のゴウゴウコウコウとした音を響かせながら数分。
トンネルを抜けました。
抜けたと同時に渡良瀬川を渡ります。
ここで線路は左岸に移り、私の座っている座席からも川が見えます。
川は清流とでも言ったらいいのでしょうか。
岩を流れが刻み、瀬では沫が白くはじけ、奇観を作っています。
川の向こう側には道路も見えるのですが、場所によっては道路が森林の中に隠れる場所もあります。
こうしたところを車窓から眺めると鉄道だけで渓谷美を占領しているようで、いい気分です。
沢入から原向まで、渓谷美を楽しめました。

渓谷美が終わるとほどなく銅山の精錬工場の跡地でしょうか。構造物が見えます。
山の中腹から線路左側に見える平地まで、いまはもう使われていない建物の跡が数棟見えます。
また短筒形の構造物数個が1か所に固まっています。
精錬時に出る汚水の下水処理施設かと思われます。
今も鉱毒が川に流れ込んでいるのでしょうか、渡良瀬川に魚は戻らないそうです。
先ほど見えた清流は、見た目は美しいものの、化学的にはまだ何かが混じっているのでしょうね。
工場跡を過ぎるとほどなく通洞駅に着きます。
ここでは、駅から徒歩数分の距離に銅山観光がありますのでちょっと途中下車してみます。
すると、同じ事を考えているのかな、それとも他に目的地があるのか、乗客の大半が下車しました。