上毛電鉄〜毛が抜ける!?

上信の次は上毛電鉄です。
土地勘の薄い関西人には、どっちも似たような名称なのでヤヤコシイ。
そもそも、「毛」とは何ぞや?
という事で調べていきますと、古代、群馬県や栃木県エリアは毛野国(けぬのくに)と称したそうで、都から近いほう(群馬側)が上毛野国、遠いほう(栃木側)が下毛野国だった由。
その後8世紀頃に国名から「毛」が抜けて(笑)、「上野国下野国」となったそうですね。
これで「毛」の意味が分かりました。
この地域になじみのない私はちっとも知りませんでしたよ。

上信電鉄で高崎に着きましたら、まずJR両毛線経由の小山行きに乗り換えまして、前橋駅まで行きます。
上毛電鉄に乗ろうと思っても、JR前橋駅には上毛電鉄は乗り入れてないのです。
なので、バスに乗って移動となりますので、前橋駅前のロータリーにあるバス停に行きますと、レトロ調のバスがやってきました。

天井は二重屋根で明かり取り窓があり、イスはなんと木製。
クッションがないのでお尻が痛いです。
…が、痛いと言っても我慢ができないほどの長時間ではなく、たった5分ほどで「中央前橋駅」に着きました。

県庁所在地だからか、なかなか立派で現代的な駅舎ですね。
先ほど見てきた下仁田はえらい違いです。
この立派な駅舎が上毛電鉄の始発駅です。

実は反対側の終点「西桐生駅」も国鉄・JRとは離れた場所なのです。
国鉄・JRなぞ眼中にないような独立心。
国鉄に接続することで自らの存在感を確立させている関東の私鉄にしては、極めて珍しい鉄道会社です。
途中の運動公園駅付近では国鉄・JRの旧足尾線、現在のわたらせ渓谷鉄道と立体交差しているのですが、ここにも駅はありません。
まるで、大和郡山付近における関西本線近鉄橿原線のようです。
なんとも関西チック!
ここまで徹底していたらアッパレです。

そのいっぽう、途中の赤城駅東武との連絡駅で、線路もつながっています。
また、途中の駅に掲出されている時刻表には、東武特急との接続列車の案内まで記入されています。
実は、上毛電鉄の大株主が東武だそうで、切っても切れない関係だそうですね。


さて、中央前橋から西桐生を目指します。
車両は元・京王井の頭線用の車両です。
先頭部が特徴的な2枚窓のあの車両ですね。
上毛電鉄も、他のローカル私鉄と同様に大手私鉄の中古車を導入していますね。
東武と関係が深いのだから、東武から譲ってもらえばいいのに、と思うところですが、東武は全長20Mの大型車ばかりで、ローカル私鉄には持て余すサイズですから、18Mの中型車ばかりの京王井の頭線から引き取ったのでしょう。

車窓を見ていますと、前橋を出てしばらくは市街地なのですが、数駅ほどで宅地はなくなり農村地帯へと入ります。
早朝に乗車した上信電鉄と同じような風景です。
一部では稲の刈り取りが行なわれていました。

しばらく進むと、大胡駅
大胡駅の直前に車庫が見えます。
元京王車のほかに、こげ茶色の電車や電気機関車が見えます。
「古池のヌシの大ウナギ」のような存在とでも言いましょうか。

さらにしばらく進むと、赤城駅
この駅で行き違いおよび、東武特急との接続があります。
当方の電車が入線後5分ほどで、赤と白の配色の東武特急が現れました。
その東武から2〜3人が上毛に乗換えました。
少ない人数とは言え、接続しているから乗換え客があるのです。
クルマに対抗するにはこうでもしなきゃ勝てません。

そして、渡良瀬川を渡ると終点の西桐生に到着です。
なかなか渋い造りの駅のようです。
なんでも、関東の駅100選に入っている駅だとか。
中央前橋とはまるでベクトルが異なっています。
同じ鉄道会社とは思えないぐらい。

西桐生を降りた私は南へ歩きだします。
ここではバスを乗るほどの距離ではなく、徒歩約5分でJR・わたらせ渓谷鉄道桐生駅にたどりつきました。