そうだ 九州 行こう その1(南阿蘇鉄道、あそぼーい!)

何だかタイトルが某JRのCMのパクリですが・・・(笑)
日々の通勤で環状線に乗っていますと、車内に熊本・宮崎・鹿児島デスティネーションキャンペーンの広告が掲示されていました。
これが、かの水戸岡氏のイラストで描かれていまして(←のリンクをクリックすればイラストが約10秒毎に入れ替わって3枚出てきます)、これを見ているだけで旅情がかきたてられて来るのですよ。
これは行くっきゃない!と思ったのが12月27日頃。
そんな訳で、脊髄反射的に年末年始は九州へ行って参りました。


12月30日早暁、まだ明るくならない内から地元最寄駅より始発電車に乗り、一路伊丹空港へ移動。
タビテツだというのに航空機利用とは如何なものか、という話はさておき…*1

伊丹7時30分発のANA521熊本行きは、ほぼ満席でした。
こんな時期なので滑走路が混雑しておりモタモタしていて、実際に離陸したのは7時50分頃。
それでも飛行機は速く、1時間弱でもう熊本へ到着しました。
熊本空港は、熊本市の中心より結構離れており、熊本駅へはバスで50分もかかるような立地。
鉄道最寄駅としては豊肥本線肥後大津駅なのですが、ここまではクルマで12分の近距離。
どうも熊本県としては空港アクセス交通モードの拡充を考えているのか、「空港ライナー」なるものを無料で運行しているのです。*2
熊本県プレスリリース→

くまモンが描かれたタクシー小型車を転用しているクルマに私を含め乗客が3名乗車。
無料ということで、有難くこれを利用させてもらいました。*3


肥後大津駅到着。
ここでJR豊肥本線宮地行きキハ47に乗換え、たった2駅で立野に到着。
私は今回初乗車となる南阿蘇鉄道に乗換え。

立野駅は、豊肥本線としては3段式スイッチバックで有名な駅ですが、南阿蘇鉄道の列車はスイッチバックに関係なく立野を出発。
次駅までの深く切れ込んだV字渓谷に、第一白川橋梁が架けられています。
水面から60M以上の高さで、わざわざ徐行運転してくれました。*4
列車はその後、阿蘇カルデラの中を、北側には阿蘇山、南側には外輪山を見ながら徐々に勾配を稼いでいきます。
途中には日本一長い駅名の、南阿蘇水の生まれる里白水高原駅*5を経、その後、正面に阿蘇山を拝むような位置の高森駅に到着。

南阿蘇鉄道*6といえば、本来ならば高森よりさらに線路を東伸させ、高千穂より旧・高千穂鉄道*7を経由し日豊本線延岡まで直通する予定で、建設工事も実施されていました。
1972年には高千穂線の日ノ影−高千穂間延伸開業し、残る高千穂−高森間27km*8を開通させれば九州横断路線が完成する予定だったのです。
ところが、高森駅東方の高森トンネルの建設工事中に地下水脈をぶち抜いてしまい、大量出水に悩まされ、近隣の水源が枯れるという騒動を起こしてしまいました。
折しも時は国鉄改革、赤字ローカル線の廃止論議が高まっていた時期であり、結局線路建設は頓挫してしまい、延岡直通は夢に終わってしまいました。
出水したトンネルは現在、「高森湧水トンネル公園」として開放され、入園料300円を払う事でトンネルの中を見学できます故、せっかくここまで来たのだからトンネルの中を見学してきました。
トンネルの中はクリスマスツリーの装飾がなされ、最奥部には、ゴツゴツした岩でトンネルを塞ぎ、その隙間から水が湧いてきているような演出がなされていました。
その湧水はトンネル底部の水路を通じて外へ流しています。

トンネルを見て感じたのですが、トンネルの高さが高いような気がします。
先日、五新線用のトンネルを見てきた時と比べても高いような気が。
図面などがないのでよくわからないのですが、もしかすると、電化対応トンネルとして掘っていたのかもしれません。
もしも、延岡まで線路が実現していたならば、どのような運行体系となっていたか、興味が尽きません。


高森駅に戻り、折り返します。
立野駅で再びJR豊肥本線に乗換え。
接続列車は普通ですが、もう一本待つとデビューしたばかりの「あそぼーい!102号」が来るのでこれを待つ事にしました。
特急乗車のため、自由席特急券を券売機で購入。
到着5分ほど前になり改札口を通ろうとすると、女性駅員氏曰く、あそぼーい!は全席指定席だとの事。
指定券代をけちって、あそぼーい!に乗らなければ、これ以降の行程が狂うので、駅員氏に指定券の購入を依頼。
しかし時刻表の路線図を見る限り立野駅にはみどりの窓口はないはずなのです。
だけど、なぜか指定券を売ってもらう事ができました。
受け取ったPOS発行の券面は、水色定期券サイズの、JRで標準タイプのマルス券。
ただ、右上の枠囲みの中に「中継」と印字されているので、立野駅のPOSからどこか近隣駅のマルスに接続して発行しているのでしょうか。*9

あそぼーい!がスイッチバックを降坂しながら、立野に到着。
こりゃすごいですね。

車体のそこかしこに「くろちゃん」が描かれています。
内装も、遊び心がたっぷり。

長崎オランダ村特急時代からおなじみのパノラマシート。

↑「くろクラブ」という子供の遊び場が設置されていて、実際に家族連れが楽しんでいました。

↑「白いくろちゃんシート」幼児連れでもゆったり座れるように幅に余裕を持たせた座席。

↑「くろカフェ」というビュフェ。調理はできないものの、弁当や飲料、グッズの販売をここで。
 私もホットコーヒーとチョコロールケーキを購入しました。

↑ビュフェで買った飲食物を、ラウンジで車窓を眺めながら食べる事ができますね。


なんだか、和歌山電鉄の「たま電車」を、特急列車用として更に突き詰めたようなデザイン。

もう本当に、私が家族連れならば、ぜひこの列車を利用してみたい、と思ってしまうような演出でした。
列車が熊本駅に到着して、色んな方が写真を撮影されていました。


(続)

*1:本当は新幹線のつもりでしたが、軒並み満席で、冗談のつもりで見たANAの空席案内に、特割16,300円の空席があるのを見つけ飛びついたのです。

*2:ホームページの著作権熊本県とあるので、行政主導の社会実験でしょうか

*3:有料でも使ったでしょう。

*4:もっと高い橋梁は高千穂鉄道の高千穂橋梁がありましたが、あえなく水害で廃線になったのは記憶に新しいところ。

*5:車内の案内などは長くて面倒なのか、単に「白水高原」とだけ表記

*6:旧・国鉄高森線

*7:旧・国鉄高千穂線

*8:国鉄高千穂線の延伸として建設

*9:他に、オンライン接続していない場合は、駅員が近隣のマルス設置駅に電話して、料金専用補充券に手書きで発行された事もあります