タビテツ関東平野外周編その3 トンネル駅(2012/12/28)

これより以北は野岩鉄道
東武鬼怒川線もそうですが、野岩鉄道、そして会津鉄道と初乗線区です。
国鉄野岩線として鉄建公団により建設されていた当路線が、国鉄の大赤字のあおりで建設が凍結されていましたが、その後第三セクター方式*1で営業することになり、建設が再開されたのち開業した路線。
なので、線形が良い。
新藤原までの東武鬼怒川線とは建設年次が大きく線形が異なっています。
発車早々トンネルに入り、長大トンネルと橋梁で地形に逆らって線路が通されているので、速度も上がってきます。いかにも近代現代の鉄道の様相。

周囲がトンネルで暗いまま速度が落ちてきたと思ったら、トンネルとトンネルの間のわずかな明かり区間に設けられた龍王峡駅があります。まるで福知山線西宮名塩みたいな駅ですね。
この先もトンネルが多く、その中には、トンネルの中に設置された駅があります。
それが湯西川温泉駅
以前のタビテツにおいても、地下鉄以外のトンネル駅を訪問しており、当駅だけが未踏となっておりました。(訪問駅:湯檜曽土合筒石美佐島
なので今回、下車してみようと思った次第。
車窓が真っ暗なまま電車が減速すると、上記の龍王峡とは異なり、停車しても車窓は暗いまま。
まさしくトンネル駅です。
11時56分着。

当駅で下車する人なんて、はたしているのだろうか?と思っていたのですが、いざ降りてみると、十名ぐらいの下車がありました。
湯西川温泉への最寄駅*2となっているからでしょう。

トンネル駅とはいえども、駅の北側はもう出口。明かりが見えていて、その向こうには橋梁が見えています。

駅の南側は漆黒の闇。
小さな待合室も見えますが、美佐島駅のように列車往来時には自動ドアでシャットアウトとはなっていません。
通過列車がないからでしょう。
ホームから改札口までは階段でアクセス。エレベータでもアクセスできます。

改札口へと上がると、無人駅かと思いきや、女性の駅員さんが集札されていました。
駅前はロータリーとなっています。
駅には道の駅も併設されています。
しかし、山肌とダムに挟まれた場所に立地ゆえ、周囲に人家は見当たりません。
列車に接続しているであろう、バスがやってきました。

道の駅には温泉施設も併設されていて、できればひとっ風呂浴びて、旅の汗を洗い流したいところ。
足湯もあります。

しかし、次の列車までの時間があまり長くないので、入浴はまたの機会にしました。
駅前には五十里湖というダム湖があり、この上に湯西川橋梁が渡されています。
おりしも、まもなく列車がやってきますので撮影しました。

↓このように線路の真上からも写真を狙えそうです。
この位置のすぐ横には、野岩鉄道開通記念の石碑があり、また、橋梁の解説*3もありました。

さて、間もなく次の列車に乗りますので駅に戻ります。
駅員さんより西若松まで2620円の高額乗車券を購入。西若松会津若松18きっぷ
ホームにて列車を待っていると、風が吹いてきました。
ほどなくして前照灯が見え、列車が到着です。

さきほど、日光駅で見かけたAIZUマウントエクスプレスです。
外観は三セク路線でよくみられるタイプの車両で、このタイプを一見すると地方のローカル線までやって来たなぁという気分になります。
他の三セク路線でこの外観の車両が走行していたとしても何ら違和感ありません。
外観とはうらはらに車内は、リクライニングシートが設置されており、ローカル列車としては破格の車内設備。
女性アテンダントも乗務しており、ワゴンで車内販売まで実施していました。
東武スペーシアからの接続列車として、当列車もスペーシアに負けないサービスを実施しようと努力されている様子がうかがえます。
湯西川温泉駅12時35分発車。時刻表では32分発なので3分遅れ。
発車すると、さきほどの湯西川橋梁にてダム湖を渡ります。
男鹿川沿いに線路も日光街道も敷設されており、わが列車は軽快に登坂していきます。
いよいよ国境の峠。
栃木県側の最後の駅である男鹿公園駅を通過すると分水嶺のトンネルに入りしました。
長いトンネルを抜けると、さきほどまでとは流れが反対向きの荒海川となり福島県会津地方に入りました。
車窓は、さきほどまでより積雪量が多いように見えます。
会津高原尾瀬口駅に到着しました。
ここまでが野岩鉄道、これより会津鉄道。会社境界の駅です。

しかし、境界駅にしてはその雰囲気に乏しく、ごくありきたりな中間駅のように見えます。
かつて当駅は会津滝ノ原駅と称し、国鉄・JR会津線の終着駅でした。
1986年に野岩鉄道が開通し、会津高原駅と改称の上接続駅となりましたが、電化の終点が当駅だったので、運転系統は当駅を境に二分されていました。
1987年にJRから三セクへ転換、1990年に会津田島まで電化され、浅草より直通電車が走る事になりました。
さらに16分走行すると会津田島駅に到着。

駅周囲には市街地が形成されています。
電化も当駅までであり、こちらのほうが会社境界かのような雰囲気でした。

乗客も結構入れ替わり、長距離旅客よりも地元客のほうが多くなった様子。
雪の会津地方を軽快に走行すると、カーブ区間に片面ホームが設置された塔のへつり駅に停車。
川の流れによる浸食で奇岩が連なっているとのことで、車窓から見えないかと期待するも、よく分からず仕舞。

グーグルマップの航空写真を参照すると、↑の画像の右手側少しのところが塔のへつりとの事で、車窓から見る事はかなわない様子。
湯野上温泉駅にて、鬼怒川温泉行きのAIZUマウントエクスプレスと交換。

2両のうち前部1両は転換クロスシート、後部1両はいま私が乗車している車両と同タイプのリクライニングシート車でした。
AIZUマウントエクスプレスには全てリクライニングシート車が使用されているのかと思いきや、車両数の都合もあるようで、そういう訳にはいかないのでしょう。
特別料金不要の快速列車ゆえに、転換クロスでも上質のサービスだとは思いますが。
芦ノ牧温泉駅では、お座トロ列車にかつて使用されていた車両AT-301が留置されているのがちらりと見えました。
いかにもキハ30の風貌を残していますね。

ここで下車すれば、この車両を眺めることができるほか、駅長ねこ「ばす」の表敬訪問もできたのですが、そのまま乗車。
雪景色の中を列車は快走し、西若松着。
西若松までが会津鉄道線、これより先がJR只見線ですが、運転士の交代なくそのまま直通しました。
14時10分頃、会津若松到着。定刻が14時08分なので2分ほどの遅れでした。

*1:出資者:栃木県、福島県東武鉄道、他

*2:当駅よりバス20分

*3:鋼材の表面に発錆させることにより、その後の腐食を食い止め、無塗装化し、保守維持費の低減を図るとの内容。